「アルテミス3」の宇宙服は4G通信に対応–2024年後半にも月面に基地局を輸送

AI要約

2026年9月に予定されている有人月面探査ミッション「Artemis III」で使用される宇宙服「Axiom Extravehicular Mobility Unit(AxEMU)」に第4世代移動通信システム(4G)ネットワークユニットが搭載される。

Artemis IIIは、ロケット「Space Launch System(SLS)」と宇宙船「Orion」、着陸船「Starship HLS」を組み合わせて人類を再び月面に立たせるミッション。

Artemis IIIで活用される「月面通信システム(Lunar Surface Communications System:LSCS)」に計画されている4Gネットワークは帯域幅が広く、通信も高速だ。

「アルテミス3」の宇宙服は4G通信に対応–2024年後半にも月面に基地局を輸送

2026年9月に予定されている有人月面探査ミッション「Artemis III」で使用される宇宙服「Axiom Extravehicular Mobility Unit(AxEMU)」に第4世代移動通信システム(4G)ネットワークユニットが搭載される。AxEMUを開発するAxiom Spaceとネットワークユニットを開発するNokiaが協力する。

 Artemis IIIは、ロケット「Space Launch System(SLS)」と宇宙船「Orion」、着陸船「Starship HLS」を組み合わせて人類を再び月面に立たせるミッション。従来、月面での有人ミッションの通信には極超短波(UHF)が使用されてきた。

 Artemis IIIで活用される「月面通信システム(Lunar Surface Communications System:LSCS)」に計画されている4Gネットワークは帯域幅が広く、通信も高速だ。着陸船から最大2km離れた宇宙飛行士と通信することが可能になるという。高解像度映像をストリーミングしたり、大量の科学データを送信したりできるとしている。

 LSCSは、基地局やコアネットワークなどの要素を1つにまとめたネットワークモジュールと宇宙服に組み込むデバイスモジュールのコンポーネントで構成される。ネットワークモジュールとデバイスモジュールは、月面の過酷な環境条件と宇宙飛行の動的ストレスに耐えるよう慎重に設計され、サイズや重量、消費電力が最適化されているとしている。

 Axiom Spaceの船外活動担当エグゼクティブバイスプレジデントのRussell Ralston氏は「通信の観点から、スマートフォンの主要コンポーネントは宇宙服と統合され、宇宙環境と運用要件にあわせて調整される」と解説している。

 Nokia子会社Nokia Bell LabsのBell Labs Solutions ResearchプレジデントであるThierry Klein氏は「生命維持装置や食料などが必要なのと同じように、相互に通信して重要な作業を進めるには高度なネットワークが必要」と説明している。

 LSCSのハードウェアは、2024年後半に予定されている米Intuitive Machinesの月面探査ミッション「Intuitive Machines 2(IM-2)」でテストされる計画。Intuitive Machinesの着陸船(Nova-C級)「Odysseus」は基地局を搭載、IM-2に搭載される貨物のうち2つに4Gの受信端末が搭載される。

 IM-2の着陸地点は、月の南極付近にある「Shackleton Connecting Ridge」。IM-2は、月への貨物輸送を米航空宇宙局(NASA)が民間企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」の一環(IM-2はNASAからは「Polar Resources Ice Mining Experiment-1(PRIME-1)」とも呼ばれている)。

 宇宙服は「船外服」とも「船外活動ユニット(Extravehicular Mobility Unit:EMU)」とも呼ばれる。現在、国際宇宙ステーション(ISS)で活用されているEMUは、1970年代に設計され、1983年4月に初めて宇宙で実際に使用された。EMUについては、米Axiom Spaceとイタリアの高級ファッションブランドPradaが共同で開発することが2023年10月に発表された。

関連情報Axiom SpaceプレスリリースPRIME-1搭載ペイロード(NASA)Space.com