NEDO、社会実装できるイノベーションを強力支援--シンクタンクが新名称「TSC」で再始動

AI要約

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のシンクタンクであるNEDO技術戦略研究センターがイノベーション戦略センターに名称変更。9つのユニットを立ち上げ、社会課題解決に取り組む。

新TSCは技術戦略策定部門として2014年設立。過去101の戦略を策定し、159のプロジェクトに貢献。

新TSCはデジタルイノベーション、ナノテクノロジー・材料など6つの技術ユニットと3つの横断ユニットで活動。将来像の提案やプロジェクトマネジメントを強化。

NEDO、社会実装できるイノベーションを強力支援--シンクタンクが新名称「TSC」で再始動

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のシンクタンクであるNEDO技術戦略研究センターは7月26日、名称をイノベーション戦略センター(Technology and Innovation Strategy Center(新TSC))に変更したと発表した。9つのユニットを立ち上げ、各分野で取り組むべき社会課題解決に取り組む。

 NEDO技術戦略研究センターは、NEDOのミッション実現に向け、プロジェクトの企画立案を担う部門として2014年度に設立。これまでに101の戦略を策定し、159のプロジェクトに貢献してきたという。

 NEDO イノベーション戦略センターセンター長の岸本喜久雄氏は「この10年間で気候変動問題の深刻化や近年の世界情勢など、日本を取り巻く環境は予想を上回る速度で動いている。また、生成AIなどに代表されるように、技術は目を見張るような速度で発展している。このような変革の時代において、私たちはより早く、ニーズに沿った、現実的なインテリジェンスの提供が求められている」と現状を説明した。

 ユニットとして活動するのは「デジタルイノベーション」「ナノテクノロジー・材料」「サステナブルエネルギー」「環境・化学」「バイオエコノミー」「アグリ・フードテック」の技術ユニット6つと、「国際戦略」「マクロ分析」「標準化・知財」の横断ユニットの3つ。

 NEDO イノベーション戦略センター事務局長の植木健司氏は「前身となる技術戦略研究センターでは、技術戦略の策定を中心にしてきたが、2020年度からはプロジェクトの先にある将来像を描いたり、プロジェクトの周辺情報を調査したりといった取り組みもしてきた」と少しずつ変化してきた役割について話す。

 一方で「プロジェクトの構想を提案しても、予算の制約によって構想の一部しか実現できなかったり、新しいプレーヤーや技術が出てきたりと、いろいろな環境変化が生じて、プロジェクト内容を見直す必要があり、社会実装にまではつながらないケースもあった」(植木氏)と課題も挙げる。

 こうした背景を受け、新TSCでは「各分野を俯瞰した『Outlook』等による政府の基本方針や戦略への提案」「最新動向メモの提供等によるプロジェクトマネジメントへの伴走支援」「オープン・クローズド戦略等の社会実装を見据えた助言」という3つの方向を打ち出す。

 植木氏は「プロジェクトを実施していく上で民間との取り組みを進める必要がある。メーカーや大学、研究機関、商社、報道機関などに対して情報発信に取り組んでいく」と新たな姿勢を示した。