「先端技術系の新興企業強化を」経済同友会が提言 研究費、海外展開を資金支援

AI要約

経済同友会は新興企業の育成システム拡充に向けた提言を公表。特にディープテック分野に重点を置き、大学研究者の支援や海外展開を後押しする必要性を訴えた。

政府から大学への研究開発費の低下が懸念され、ディープテックスタートアップの創設・拡大には研究費配分の増加が必要との要望がある。

さらに、ディープテックスタートアップの資金面において、投資期間の長期化や海外展開支援の必要性が指摘された。

「先端技術系の新興企業強化を」経済同友会が提言 研究費、海外展開を資金支援

経済同友会は24日、スタートアップ(新興企業)の育成システム拡充に向けた提言を公表した。特に海外市場でも有望な「ディープテック」と呼ばれる、人工知能(AI)や生命科学といった先端技術開発を手掛けるスタートアップが重要として、その担い手となり得る大学の研究者を支援し、起業後の事業化や海外展開を後押しする必要があると訴えた。

提言では、政府から大学への研究開発費が、日本は平成12年と令和3年との比較でほぼ横ばいなのに対し、米国、ドイツ、フランス、韓国など他国は1・9~6倍になっていると指摘。基礎研究力の低下は、将来的に革新的技術を活用した新事業創出の低迷につながるとした。

その上で、大学発のディープテックスタートアップを創設、拡大させるためには、先端技術分野の研究者を中心に、1人当たり年間100万~200万円の研究費を複数年にわたり配分すべきだと政府に要望した。

起業後も、ディープテック分野のハードルが高く事業化まで長い期間を要することから資金不足に陥らないよう、成長期だけでなく、株式上場も視野入れることができる安定期まで寄り添う投資が不可欠と強調。民間のベンチャーキャピタル(VC)の投資期間が一般的に10年程度に設定されていることを踏まえ、海外展開に向け政府系投資ファンドが安定期に大規模な資金を積極的に供給する必要があると指摘した。

また、スタートアップの海外展開を支援するノウハウが民間VCで不足していることから、政府が費用を全額負担し、投資担当者を海外の養成機関に派遣し、育成すべきだとした。