パナソニック、ITの恩恵すべての人へ--「水道哲学」で途切れないネットワーク構築

AI要約

パナソニックEWネットワークスは、物販とソリューション事業を展開し、雷サージ搭載のスイッチングハブも披露。

会社の歴史や強み、最新技術への取り組み、顧客へのサポートなどが紹介された。

さらなる成長を目指すパナソニックEWネットワークスが、ネットワークの安定性と普及拡大を目指す姿勢を示した。

パナソニック、ITの恩恵すべての人へ--「水道哲学」で途切れないネットワーク構築

 パナソニックEWネットワークスは、物販を中心したスイッチングハブ事業と、施工、保守、運用を含めたソリューション事業の中身など事業説明会を実施した。会場では、重要性が高まる「雷サージ」搭載のスイッチングハブも披露した。

 パナソニックEWネットワークスは1989年に設立。ネットワーク事業からスタートし、ワイヤリング(配線)やスイッチングハブなどに事業を広げてきた。カメラや画像解析技術と組み合わせ、顔認証や生産設備監視などにつながる映像ソリューション事業や入退ソリューション事業なども手掛ける。

 パナソニックEWネットワークス 代表取締役社長の元家淳志氏は「私たちの強みはワンストップの現場対応力。商品開発から施工、データを収集、分析し、未来に向けた改善策を見出す。保守やメンテナンスまで一貫してサポートすることで、長く寄り添い続けるパートナーを目指す」と話す。

 事業構成で半数以上を占めるスイッチングハブ事業については「『PoE(Power over Ethernet)』と呼ばれる、通信線上に電力をあわせて供給できる技術に対応したスイッチングハブにおいて、国内シェアの上位を占めている」(元家氏)と説明する。これにより、LANケーブル1本で最大90Wの電力供給ができ、複数の電源工事をすることなく、安全かつスマートな配線が可能になるという。

 今後は設備ネットワークに求められる最大の要素である「ネットワークを止めないこと」を実現するために、システムとハードの両方を強化していく方針。システムを冗長化する一方で、雷、静電気、高温、埃、粉塵などハードに与える要因の除去に取り組む。

 なかでも注視しているのが影響度の大きい雷だ。日本では雨期の季節に落雷発生率が高く、雷による損害は年間で1000億円を超えるとも言われている。

 パナソニックEWネットワークスのPoEスイッチングハブには、AC電源側とLANポート側の両方に雷サージ保護回路を搭載。無線Wi-Fiのアクセスポイントやネットワークカメラからの誘導雷に対する耐性も持ち、雷からネットワークを守る。

 さらに、IEC(国際電気標準会議)での耐性基準が2~4キロボルトなのに対し、ポート側の雷サージ耐性を10キロボルトへと強化しているとのこと。「10キロボルトというパナソニックの独自水準でテストできる環境を持っていることが私たちの強みのひとつ。自社で保有している設備であれだけの評価ができるのはパナソニックならでは。だからこそ、10キロボルトに対応できるスイッチングハブを作れる」(元家氏)とこの市場への参入障壁の高さを強調した。

 2月には、東武鉄道が鉄道施設向けにPoEスイッチングハブ「FA-ML」シリーズを導入。「駅や線路への落雷でスイッチングハブが壊れ、駅や車庫に設置している無線LANや監視カメラが止まるというトラブルが、2023年度だけで9件も発生していた。雷に強いPoEスイッチングハブを探されていた時にパナソニックにお問い合わせいただき、実機での検証を経て正式導入に至った。導入後は落雷による機器の故障やシステムトラブルなどは発生していない」(パナソニックEWネットワークス 東日本営業一部 営業第一課の蘭隆太氏)と実績も積み上げる。

 元家氏は「パナソニックEWネットワークスはIT企業でありながら、建設業の金看板も保有して事業を運営している。この強みを生かし、システムのLAN、配線工事などを中心にデータセンターやオフィス、工場や学校の通信、電気、内装インフラをワンストップでお客様に提供している」と強みを説明する。

 続けて「IT化によって世の中は便利になったが、まだこの恩恵を受けられない組織や人がたくさんいる。この状況にとどまらず、人の思いまでもつなぐネットワークの可能性を切り開き、蛇口をひねれば水が出るように、誰もが快適にITの恩恵を当たり前に受けられる世の中の実現を目指す」(元家氏)とネットワークのあるべき姿を、創業者である松下幸之助氏の言葉「水道哲学」になぞらえて表現した。