研究力低下に危機感、科研費の倍増求め署名活動…12の学会連合会

AI要約

国内の主要12の学会連合会が科研費増額を求める署名活動を開始した。研究者に渡る科研費が減少しているため、日本の研究力が低下していると訴えている。

署名活動は幅広い分野の学会連合会が参加し、208万人の研究者が動いている。政府への要望書提出も予定されている。

科研費の配分額が減少しており、物価高や円安の影響で実質的な配分額は10年で半減したとしている。今後の産業発展や経済成長に危機感を示している。

 国内の主要12の学会連合会が8日、国の科学研究費助成事業(科研費)を現状の2倍に増額するよう政府に求める署名活動を開始したと発表した。国立大に対する運営費交付金の減少や物価高などの影響で、研究者に渡る科研費は大きく目減りし、日本の研究力の低下を招いていると訴えた。

 署名活動は、生物科学学会連合や日本化学連合など、工学や医学、歴史も含めた幅広い分野の学会連合会が今月から始めた。712学会、延べ208万人の研究者が参加し、8月上旬にも政府へ要望書を提出する。

 科研費は、先進的な研究に対し、審査を経て配分する競争的研究費の一つ。学会連合によると、交付額は毎年度2400億円前後と横ばいで推移する一方、国立大に対する運営費交付金の減少で科研費に応募する研究者が増え、1研究あたりの配分額が減った。さらに物価高や円安による研究コスト増で、実質的な配分額は10年で半減したという。

 科研費は、青色発光ダイオード(LED)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)など、後にノーベル賞につながった革新技術の研究初期を支えた。同日、文部科学省で記者会見した生物科学学会連合会会長の東原和成・東京大教授は「将来、産業発展や経済成長が危機的状況になる」と増額を求めた。