「北部医療センター」の整備費、444億円に 21年度の基本計画から165億円も増 沖縄

AI要約

北部地域の基幹病院となる「公立北部医療センター」の整備費が増加し、厳しい収支状況になる見通しが示された。

整備費増加の内訳は、物価高騰や建築単価の増加などが主な要因である。

県は整備費の低減や財源確保に取り組む考えであり、医師や看護師の確保策も協議していく必要がある。

「北部医療センター」の整備費、444億円に 21年度の基本計画から165億円も増 沖縄

 北部地域の基幹病院となる「公立北部医療センター」の整備に向けて、県や関係市町村、医師会などでつくる整備協議会が4日、名護市の県北部合同庁舎で開かれた。2024年度に実施している実施設計の中間報告を踏まえ、センターの概算整備費は、前年度の基本設計時から、55億2千万円(14・2%)増の444億5千万円に上るとの見通しが示された。整備費の増加に伴い、収支の見通しも厳しくなり、県は整備費の低減や財源確保の両面から取り組んでいく考え。

 整備費増加の内訳は、物価高騰に伴う医療機器の見積価格、建築単価や資材費の増加などにより約30億円増えた。さらに、擁壁を新設する費用として約15億円、建物を支える「支持地盤」が想定よりも深いことが判明したため、より長いくいを打ち込む費用として追加で約10億円が必要に。整備費用は21年度の基本計画時の概算と比較すると、165億3千万円の大幅増となっている。

 整備費増加に伴い、国からの交付金や、地域医療介護総合確保基金などを計画通り確保したとしても、10年後の収支は、3億3千万円の資金不足になるとのシミュレーションも示された。県は「病院事業債の償還や、医療機器の更新投資負担が重く、計画通りに(整備予算を)確保した場合でも、資金的には厳しい経営状態が生じるおそれがある」としている。

 協議会の中で、池田竹州副知事は「当初の設計では想定できなかった部分がある」と説明した。参加した首長からは医師や看護師の確保策を協議していく必要があるとの意見が上がった。 

(池田哲平)