アップルAIの強み、LLMならぬ大規模“配信”モデル

AI要約

アップルとメタがAI技術の提携協議を行っていると報じられた。アップルはAI分野で後れを取っており、オープンAIの技術を活用することも発表した。

メタは大規模言語モデルを開発し、アップルの生成AIサービス「Apple Intelligence」に統合する話が進行中。アップルはプライバシー保護を重視しつつ、他社の大規模モデルと連携を模索している。

アップルは端末側で計算処理を行う方式を取ってきたが、最近ではオープンAIのChatGPTとの連携を発表。将来的には他社のAIモデルとの統合にも期待を寄せている。

 米アップルと米メタが生成AI(人工知能)技術について提携協議を行っていると米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが報じた。AI分野で後れを取っているアップルは、先ごろ米オープンAIの技術をスマートフォン「iPhone」などで利用できるようにすると発表したが、他のAI開発企業とも同様の提携を狙っている。

■ 自社の小規模モデルと他社の大規模モデル

  WSJによると、メタは、アップルが先ごろ発表した生成AIサービス「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」に、自社のAIモデルを統合することについて、アップルと協議した。メタは23年7月に大規模言語モデル(LLM)「Llama 2」を開発し、24年4月にその次世代版「Llama 3」を公開した。これらの言語モデルを基盤とするAIアシスタント「Meta AI」も手がける。

 生成AI分野への参入が遅れていたアップルは、独自の小規模AIモデルを開発してきた。利用者のプライバシー保護を重視する同社は、計算処理を端末側で行い、個人情報が外部サーバーに送信されないような手法で開発を続けてきた。

 だが、先ごろ開いた同社の開発者会議「WWDC24」でアップルはオープンAIの対話型AI「Chat(チャット)GPT」との連携を発表した。複雑あるいは特定のタスクについては、端末側ではなく、生成AI企業が開発するLLMで構築された外部システムに接続して処理結果を得るという、ハイブリッド型アプローチを取った。

 アップルのソフトウエアエンジニアリング担当上級副社長のクレイグ・フェデリギ氏は「私たちは最高のものから始めたいと考えている。現在、ユーザーにとってChatGPTは最良の選択肢だ」と説明した。一方、同氏は「将来的には、米グーグルの生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」との統合を楽しみにしている」とも述べ、複数のAI企業との連携に意欲を示した。