オールスターの目玉は打撃投手? “ノーセンスピッチャー”と評された侍選手とは

AI要約

2024年7月23日、24日に開催された『マイナビオールスターゲーム2024』。両軍合わせて2試合で計12本塁打が飛び出す乱打戦が繰り広げられた。

ホームランダービーでの打撃投手探しや選手間の信頼関係、準備に奮闘する様子が面白く描かれた。

ホームランダービーでの熱戦、選手たちの意外な一面を垣間見ることができた。

オールスターの目玉は打撃投手? “ノーセンスピッチャー”と評された侍選手とは

 2024年7月23日、24日に開催された『マイナビオールスターゲーム2024』。23日は11-6でセリーグが、24日は16-10でパリーグが勝利した。両軍合わせて2試合で計12本塁打が飛び出す乱打戦が繰り広げられたが、ホームランボールが宙を舞ったのはゲーム中に限らない。試合前に行われるホームランダービーでも、各リーグを代表する長距離打者が多くのアーチをかけた。

 しかし、ホームランダービーは打者の活躍だけでは盛り上がらない。ホームランになりやすいボールを投げるバッティングピッチャー(以下、打撃投手)の存在が必要不可欠。オールスターゲーム後には各球団のYouTubeチャンネルでは、オールスターゲームの試合前後の選手の裏側を収めた動画が更新されていたが、とりわけ打撃投手を中心とした人間模様が面白かった。

・信頼の侍選手・中野拓夢に人気が集中 「むー(中野)はやってくれる」

 まず巨人のYouTubeチャンネルでは、ホームランダービーに出場する巨人の4番・岡本和真が打撃投手探しに悪戦苦闘する様子が映し出される。そんな中、同い年で仲の良い阪神・中野拓夢に狙いを定めて交渉開始。「ストライク入らんかったら俺のせいでしょ?」と難色を示す中野ではあるが、岡本は「ほかの人ってマジでやってくれへんと思うんやけど、むー(中野)はやってくれる」と信頼を覗かせる。そして、中野の好投のおかげで岡本は初戦の日本ハム・万波中正を5-3で破るが、次戦のソフトバンク・近藤健介に敗北。中野はカメラに向かって「もう2本くらい打たせたかったな」と悔しさをにじませるが、岡本は「めっちゃ打ちやすい回転だった」と相棒を称えた。

 DeNAのYouTubeチャンネルでは、岡本同様に打撃投手が見つからずに困惑する牧秀悟の姿が。中野にお願いするも、“先約”がいるため「ムリ」と一蹴。ただ、広島の小園海斗に無事に引き受けてもらったらしく、宮崎敏郎が構えるカメラに向かって意気込みを語る小園。そこで「ちょっと適当に投げて『ここダメだったな』ってところを伝えたいと思います」と苦手なゾーンを手土産としてチームに持ち帰る考えを口にした。また、カメラを持った度会隆輝は「ホームラン競争はなにが鍵を握りるんでしょうか?」とルーキーらしい丁寧な口調で、巨人の山﨑伊織に聞くと「バッターのパワーを注目しがちやねんけど、バッティングピッチャーの指先、そこに注目してほしいなと思う」と回答。打撃投手探しに熱が入るのも納得の解説をしてくれた。

・牧はノーセンスピッチャー?

 中日のYouTubeチャンネルでは、ホームランダービーに出場する細川成也がフィーチャーされる。カメラマンから細川に「ホームランダービーの打撃投手は決まりましたか?」と聞かれると、「多分牧がやってくれます」と同い年でかつてのチームメイトの名前を出す。ただ、カメラマンは「そっち?」と困惑しながら近くにいる松山晋也とライデル・マルティネスにカメラを向けると、細川は「ライデルとか肩消耗しちゃうんで」とチームの守護神への気遣いを見せる。一方、「松山は(ストライクゾーンに)入んないす」と松山に対する不信感も覗かせた。

 その後、細川のバッティング練習に牧が登板して打ちやすいボールについて相談するなど、準備に準備を重ねてホームランダービーの舞台に立つ。しかし、牧の制球がなかなか定まらずに細川が見送るシーンも多く、結果は4本とあまり数字を伸ばずに初戦敗退。細川の打席が終了した瞬間、牧は急いでマウンドを降りてベンチに向かい、まるで他人事のような顔を浮かべて細川の健闘たたえる拍手を送る。ホームランダービー終了後に細川はカメラに向かって「良いボール投げてもらいました」と牧をねぎらう中、通りかかったタイラー・オースティンから「ナイスファイト」「牧、ノーセンスピッチャー」とフォローされていた。

・連投でヘロヘロに “決勝進出請負人”となった栗原陵矢

 最後はホームランダービーを一番熱く盛り上げた球団・ソフトバンクのYouTubeチャンネルに触れる。近藤から打撃投手に指名された栗原陵矢はその重圧からか、終始せわしない様子を見せる。「動いとかんと緊張する」「マラソン大会の前みたいな感じ」と使い方がわからないトレーニング機器をなんとなくで動かす。緊張感を持ちながらマウンドに立ったおかげなのか、無事に近藤を決勝に導いた栗原は「これで決勝や」とハイになる。翌日、近藤とは別に山川穂高の打撃投手を務める栗原は、山川をも決勝へと誘う。その結果、近藤と山川の対決になり、栗原がずっとマウンドで投げなければいけなくなった。

 ホームランダービーでの“跨ぎ”という体力的にも、精神的にも過酷なマウンドが続く中、2人の対決は決着がつかずに延長戦に突入。マウンドに張り付けにされたような状態の栗原ではあるが、それでも腕を振り続ける。そして、近藤を優勝に導いた後、ヘロヘロになりながらベンチに引き上げる栗原を選手たちは笑顔で賞賛を送った。

 選手の意外な関係性が知れるだけではなく、打撃投手の責任感も伝わり、オールスターをより一層楽しめる動画ばかりだ。なんにせよ、“決勝進出請負人”となった栗原が、来年のホームランダービーでどのようなピッチングを披露するのか今から楽しみである。加えて、栗原が打席に立つ場合、誰が投げるのかも今から予想したくなった。