なぜ硫黄島「遺骨収集作業現場」では写真撮影が制限されているのか
硫黄島で日本兵1万人が消えた理由と、そこでの機密文書調査に迫るノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が12刷りとなり話題となっている。
民間人の上陸が禁止された硫黄島での写真撮影制限の理由として、遺骨の写真拡散による遺族への配慮や自衛隊基地への撮影避けが挙げられている。
カメラ制限に団員が納得している理由には、遺骨の尊重と施設の防衛上の問題があることが関わっている。
なぜ日本兵1万人が消えたままなのか、硫黄島で何が起きていたのか。
民間人の上陸が原則禁止された硫黄島に4度上陸し、日米の機密文書も徹底調査したノンフィクション『硫黄島上陸 友軍ハ地下ニ在リ』が発売たちまち12刷と話題だ。
普段ノンフィクションを読まない人にも届き、「イッキ読みした」「熱意に胸打たれた」「泣いた」という読者の声も多く寄せられている。
ここでは、硫黄島に関する疑問・質問に答える。
「遺骨収集作業中は写真撮影が禁止されていました」――。
トークイベント「ぼくが『硫黄島』報道に執念を燃やすわけ」でそう話したところ、終了後に参加者から「どうして」という質問が寄せられました。
果たして撮影禁止の理由って何なのか?
「霊が写り込むから……」
というわけでは決してありません。
私が厚労省関係者から聞いた理由は以下の2つです。
(1)ご遺骨が写り込んだ写真をネットで拡散されると、ご遺族の感情が害される可能性があるため。
(2)硫黄島は島全域が自衛隊基地であり、防衛上、撮影されることが望ましくない施設が写り込んでしまう可能性があるため。
このうち(1)については、厚労省関係者からこんな話を聞きました。
「かつて政府が遺骨収集を進展させるため、遺族や関係者以外のボランティアを大勢募った時期がった。ボランティアの中には、ご遺骨の写真をSNSなどで拡散する人もいて、問題化した。以来、制限が始まった」
これはあくまで伝聞情報のため本当がどうか分かりません。
ただ、多くの団員にとって(1)も(2)も納得のいく理由として受け止められているためか、カメラ制限に反発する団員と出会ったことは、これまでにありません。