兵庫知事告発 「通報者捜しは明らかな法令違反」 弁護士が見解

AI要約

兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを告発され、元県西播磨県民局長が公益通報をしたものの懲戒処分を受けた問題について、公益通報者保護法に詳しい専門家から批判が相次いでいる。

元局長が告発文書を報道機関や県議に配布したことで問題が発覚し、県は元局長への懲戒処分を下したが、専門家からは処分が無効である可能性が高いと指摘されている。

百条委では公益通報者保護法に違反があるとの指摘がなされており、県の対応に問題があった可能性が浮上している。

兵庫知事告発 「通報者捜しは明らかな法令違反」 弁護士が見解

 兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は6日、告発者の元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が公益通報をしたにもかかわらず懲戒処分を受けたことについて、参考人の山口利昭弁護士(大阪弁護士会)から見解を聞いた。

 公益通報者保護法に詳しい山口氏は「元局長の文書配布は外部公益通報に当たる」とし、「事業者(県)は通報者への不利益な取り扱いを防ぐための措置が義務付けられている」と説明。「文書の存在を知った直後に誰がどの目的で書いたのかを捜すのはあり得ない。明らかな法令違反だ」と県の対応を批判した。

 さらに山口氏は「元局長に対する懲戒処分は無効となる可能性が高い」との見解を示した。

 5日の百条委では、内部告発者の保護法制に詳しい参考人の奥山俊宏・上智大教授が「知事らのふるまいは公益通報者保護法に違反する」と述べるなど、専門家から厳しい指摘が相次いでいる。

 一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。

 元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実ではなく、誹謗(ひぼう)中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

 元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。【稲田佳代、幸長由子】