「スケートできなくなる…」子どもから不安の声 金メダリスト小平奈緒さんら輩出したリンク「原則廃止」 長野

AI要約

茅野市国際スケートセンターの存廃を巡る議論において、市財政への負担や施設の状況などを考慮した行財政審議会が「原則廃止」との方針を示した。

市長は、答申には尊重する一方、諏訪地域6市町村や県との協議を経て施設の存続を検討する考えを示した。

また、改修には莫大な費用が必要となることから、稼働継続が難しい状況であることが指摘されている。

「スケートできなくなる…」子どもから不安の声 金メダリスト小平奈緒さんら輩出したリンク「原則廃止」 長野

 五輪金メダリストの小平奈緒さん(茅野市出身)らを輩出した茅野市国際スケートセンター(ナオ・アイス・オーバル)を巡り、存廃を検討してきた市行財政審議会は、市財政への負担などから「原則廃止」と答申する方針を決めた。今井敦市長は3日の定例記者会見で、答申があれば「尊重する」との考えを示した一方、諏訪地域6市町村などで運営を続ける可能性も検討していきたいとした。

 今井市長はまた、存廃の結論は「(2027年春の)任期満了までには出す」と述べ、これまで本年度内に結論を出すとしていた方針を転換した。その間に6市町村や県などと意見交換するとした。

 市役所で2日夜に開いた同審議会は、小平淳会長(信州諏訪農協組合長)らがまとめた素案を基に協議し、「原則廃止」と答申する方針に同意した。素案は、人口や施設利用者が減る一方、市の貯金に当たる「基金」が近く枯渇の恐れがあるなどと指摘した。

 一方で答申には、市財政の負担を軽減できる場合は施設存続を認める内容の付帯意見を盛り込むと確認した。手法として、スケート場維持に向けた目的税の創設、クラウドファンディングや寄付の活用、諏訪地域6市町村や国・県による運営などを挙げた。年内に答申する予定。

 老朽化に伴う改修に、市は6億~11億円が必要と試算していた。審議会の小平会長は「巨額の投資を行い続けることは公共性、公益性の観点から認められない」と述べた。

 市中心部のスケートセンターは地域住民に親しまれ、数々の選手を輩出し、諏訪地域のスケート文化を支えてきた。スケート競技に取り組む市内の男子高校生(15)はこの日の審議会を傍聴。存廃を検討中の岡谷市やまびこ国際スケートセンターとともに「諏訪地域からスケート場がなくなるのではないか」との懸念があって足を運んだ。同年代では茅野でスケートができなくなるとして県外に進学する人も出てきているという。会見で今井市長は「合理性だけでは語れない部分もあり、どうするのかはわれわれに委ねられている」と述べた。

 スケートセンターは1989年に開設。400メートル屋外型リンクがある。ピークの92年度は延べ14万2300人の利用があったが、近年は3万人前後となっている。諏訪地域は、岡谷市にやまびこ国際スケートセンター(1994年開設)もあり、同市も存廃を検討している。