国交省はどこまで踏み込むか…不正が相次ぎ発覚!博多・釜山間を結ぶ高速旅客船「クイーンビートル」を運航するJR九州子会社の「企業体質」

AI要約

JR九州高速船の子会社が運航する高速旅客船に安全に関わる数々の不正が判明。

不祥事の背景はコロナ禍の影響と収入不足。

「クイーンビートル」の運航困難で会社は資金難に陥り、ジェット船の売却を余儀なくされる。

国交省はどこまで踏み込むか…不正が相次ぎ発覚!博多・釜山間を結ぶ高速旅客船「クイーンビートル」を運航するJR九州子会社の「企業体質」

九州旅客鉄道(以下:JR九州)の子会社「JR九州高速船」が運航する高速旅客船「クイーンビートル」(九州・博多港~韓国・釜山港)で、安全に関わる数々の不正が判明した。

JR九州という看板を背負った「JR九州高速船」は、なぜ保有船「クイーンビートル」の稚拙な不正・検査偽装に走ってしまったのだろうか。

前編記事『不正が相次ぎ発覚…!博多・釜山間を運航する高速旅客船「クイーンビートル」で判明した、「検査偽装・隠ぺい」の悪質すぎる実態』につづき、今回の不祥事が起きた背景について、さらに迫る。

JR九州の子会社「JR九州高速船」は、約60億円を投じた「クイーンビートル」で対:航空(LCC・エアプサンなど)の競争を勝ち残ろうとしていた。

しかしここで、最大の誤算が生じる。コロナ禍で海外への渡航が大幅に制限されてしまい、2020年7月に就航する予定だった「クイーンビートル」のデビューが、まったく白紙となってしまったのだ。

「JR九州高速船」は基本的に博多~釜山航路専業のため、この時点で会社としてほぼ無収入となる。3隻のジェットフォイルは急遽開設された博多~平戸間などの国内航路でわずかな日銭を稼いでいたものの、「クイーンビートル」は税金の節約目的でパナマ船籍にしたがために、原則として国内での定期便就航(2地点間の就航)ができない。

少しでも「クイーンビートル」を動かしたいJR九州高速船は、国に窮状を訴えて特例での国内運航を模索するも、「自国の沿岸輸送は自国船に限る」という「カボタージュ制度 」の堅持を目指す業界団体が「たとえコロナ禍でも、規制緩和はもってのほか!」とばかりに猛反発。

「クイーンビートル」は博多湾を1時間少々回って帰る遊覧船のような用途にしか使えず、「利益を生めない」として建設費用にあたる約60億円を特別損失として計上。会社は資金繰りに行き詰まり、本来であれば1隻のみであったジェット船の売却を、「3隻すべて」に方針転換せざるを得なくなった。