泳ぎのプロも無力、「離岸流」を記者が体験 流されたら「横へ泳げ」

AI要約

海の事故の一因である離岸流について紹介。その発生原理や危険性、事故の実例などが述べられている。

離岸流が日本全国で起こり得ること、特に沖縄県内での事例が多いことが示されている。

海岸からの実体験や遊泳中の事故が多いことから、離岸流の理解と注意が必要であることが強調されている。

泳ぎのプロも無力、「離岸流」を記者が体験 流されたら「横へ泳げ」

 学校も夏休みに入り、マリンレジャー真っ盛りの季節を迎えた。こうした中、海の事故の一因となっているのが「離岸流」だ。岸から沖に向かう海水の流れのことで、美しい海を求め多くの観光客が押し寄せる沖縄でも事故が多発。第11管区海上保安本部(那覇市)は「離岸流を十分に理解をして、遊んでほしい」と注意を呼び掛けており、記者にも離岸流を実体験して、伝えてもらう機会を設けた。そこに筆者が挑戦した。(時事通信社那覇支局 氏家孝太)

 離岸流は、波で海岸方向へ打ち寄せられた海水が、行き場をなくして沖合へ戻る際などに発生する。幅10~30メートルほど、長さ数十~数百メートルほどといわれる。外洋に面している遠浅の海岸で、波が岸に直角に向かってくる条件下で起こりやすく、同本部によると、その速さは五輪メダル級の水泳選手と同等の秒速2メートル程度という。

 離岸流は日本全国で起こり得る。海上保安庁によると、2019~23年の5年間、全国で離岸流によるとみられる事故は362件起き、49名の命が失われている。

 沖縄では、サンゴ礁の切れ目から沖に向かって流れる「リーフカレント」が起こりやすく、沖縄本島や離島の27カ所で発生が確認されている。11管区本部によると、沖縄県内では19~23年に61人が事故に遭った。

 遊泳中やシュノーケリング中の事故が多く、死者・行方不明者は7人に上っている。海が身近にある沖縄県民の被害も県外からの観光客と同様の割合である。糸満市の大度浜海岸では23年に2件の事故が発生。シュノーケリング中だった県内在住の60代の男性が死亡している。

 同本部は7月、大度浜海岸で報道機関向けに離岸流の体験会を実施。「危険な離岸流を肌で感じ、伝えてもらう」と狙いを説明した。

 万一に備え、潜水士を6人待機させ、危険時に捕まれるよう岩場にロープを設置。沖合には救助船も配置した。潜水士や同本部職員が声を張り上げて動きを確認するなど、現場は緊張感に包まれていた。

 海岸からは実際の離岸流が目視できた。ただ、「少し流れが速いな」という程度の印象で、小川のようだと感じた。これぐらいの流れならそれほど危なくないだろうと思ったが、後で大きな勘違いだったことに気付かされる。