岸田首相、外遊取りやめ警戒優先 「対応に万全期すべき」 南海トラフ注意情報

AI要約

岸田文雄首相は南海トラフ巨大地震の注意情報に伴い中央アジア・モンゴル歴訪を取りやめ、国内で対応を優先することを表明した。

首相は原爆の日の平和祈念式典に参列し、被害状況などを追跡するために帰京した。防災担当相も山形・秋田県の豪雨視察を取りやめて対応にあたった。

首相は外遊を取りやめたことについて異例だが、中央アジアとの関係強化を継続する意向を示し、カザフスタンとウズベキスタンの首脳とも電話で説明を行った。

岸田首相、外遊取りやめ警戒優先 「対応に万全期すべき」 南海トラフ注意情報

岸田文雄首相は9日、南海トラフ巨大地震の注意情報発表に伴い、同日から12日までの日程で予定していた中央アジア・モンゴル歴訪を取りやめた。今後、日程を再調整する。8日の日向灘を震源とする最大震度6弱の地震を受け、気象庁が1週間程度は備えを徹底するよう呼び掛けていることから、対応と警戒を優先すべきだと判断した。

首相は9日、長崎市で「原爆の日」の平和祈念式典に参列。その後の記者会見で「念には念を入れ、少なくとも1週間程度は国内にとどまり、対応や情報発信に万全を期すべきだと判断した」と出発取りやめを表明、帰京して官邸で被害状況などの報告を受けた。松村祥史防災担当相も7月末の山形・秋田両県の豪雨被害の現場を視察する予定を取りやめ、対応にあたった。

首相は9日夜、官邸で記者団の取材に応じ、南海トラフ注意情報は事前避難を求めるものではないとして、旅行、帰省も含めた日常の社会経済活動を継続するよう国民に呼びかけた。併せてこの1週間、家具の転倒防止対策▽避難場所や経路▽家族との連絡手段-などの備えを再確認するよう要請。「地震が万が一、発生した場合には直ちに避難できる態勢をお願いしたい」と語った。

首相は9日にカザフスタンで中央アジア5カ国との首脳会合を行い、ウズベキスタンとモンゴルも訪れる予定だった。中国やロシアの動向をにらんだ首脳外交の機会を逃した格好だが、記者団には「中央アジアやモンゴルとの関係を引き続き力強く推進していく考えは何ら変わらない」と強調。同日夜にはカザフスタン、ウズベキスタン両国首脳と電話し、事情を説明して理解を求めた。

外遊を出発当日に取りやめるのは極めて異例だ。自民党総裁選を9月に控え、再選を目指す首相としては、外遊中の災害発生という万が一のリスクを回避する必要性もあった。