ギャンブル依存症の「自死遺族」が自助グループ立ち上げ「悲しい思いする人が増えないように」

AI要約

ギャンブル依存症で自殺した人たちの遺族が自助グループを立ち上げた。

遺族団体は初めての試みで、厚生労働省の支援を受けて設立セミナーが行われた。

神原さんの長男が自殺し、神原さんの苦悩と自助グループでの支えについて語られた。

ギャンブル依存症の「自死遺族」が自助グループ立ち上げ「悲しい思いする人が増えないように」

ギャンブル依存症で自殺した人たちの遺族がこのほど、自助グループ「ギャンブル依存症自死遺族会」を立ち上げた。これまでも自死遺族の自助グループは全国にあったが、ギャンブル依存症に絞った団体は初めて。厚生労働省・依存症民間団体支援事業の一つで、7月20日に設立セミナーが東京都内で開かれ、代表をつとめる神原充代さんが講演した。(ライター・渋井哲也)

神原さんの長男は2022年4月3日、29歳の若さで亡くなった。

この日、埼玉県警から神原さんに電話があり、長男が事故か自殺で亡くなったことを直感したという。すぐに二男に連絡して、大阪から埼玉に向かった。

長男の死因は轢死だった。電車に飛び込んで亡くなったので、神原さんは「最後の姿」に対面できず、遺骨となった翌日に会えたそうだ。

「亡くなった姿を見ていないので、今でもどこかで生きているんじゃないか、どこかで元気に生きているんじゃないか、ギャンブルしているんじゃないかと思っています」

神原さんは、自分の両親、つまり長男の祖父母に直接会って伝えるかどうか迷った。埼玉から遺骨を持って帰りながら考えていると、二男が「俺が言う」と代わってくれたという。

「お金を渡していれば。友だちを作ることができていれば。私がついていれば。施設に行かせた私が悪かったんじゃないか。一人暮らしをさせたのが悪かったんじゃないか。連絡を取っていれば。もうこればっかり毎日考えていました」

大阪に戻ってからも苦しんだ神原さんだが、話を聞いてくれる友人がいたので、少しずつ元気を取り戻した。

しかし、もっと楽になりたいと期待して、ギャンブルの問題の影響を受けた家族や友人の自助グループや自死遺族の会に行ってみたところ、逆に辛くなって「私の居場所はここじゃない」と思ったという。

その後、仕事に没頭して、長男のことを忘れる時間が長くなった。生活も落ち着いて、再び自助グループへ行ったが、やはり涙が溢れた。ある仲間は「無理して来なくていい」ということを言ってくれたという。

「私は救われました。仲間に恵まれていました。みんなが私のことを気にしてくれ、長男の命日には自宅まで手を合わせに来てくれました。本当にうれしかった」