治療薬はまだない!? ギャンブルにのめり込んだ人の脳には、いったい何が? 症状に応じた治療法とは

AI要約

ギャンブル依存症について、病気としての側面や治療法について詳しく解説。

脳の報酬系に異常が起こり、病気として扱われるようになったギャンブル依存症について。

治療法の中心は認知行動療法で、考えや行動の修正を通じて回復を目指す。

治療薬はまだない!? ギャンブルにのめり込んだ人の脳には、いったい何が? 症状に応じた治療法とは

ギャンブルに夢中になる人は大勢います。生活に重大な問題が起きているにもかかわらず、勝利や賞金を深追いし、嘘や借金が常態化してしまっている人もいます。「ギャンブル依存症」です。かつてはそういう人の問題を、本人の意志の弱さから起きることだと考えるのがふつうでした。しかし近年は、病気だと考えることが一般的になっています。脳の報酬系に異常が起きていて、本人の意志の力だけではやめられない状態になっているのです。

こういう場合は、医療機関を受診したほうがよいでしょう。そして、カウンセリングや認知行動療法などの治療を受けるようにしましょう。そうすれば、本人の行動パターンや考え方が変わり、脳も異常な状態から回復していきます。

この連載では、『ギャンブル依存症から抜け出す本』(樋口進監修、講談社刊)から、依存症の特徴から治療法、生活上の注意までを、全8回にわたって解説します。今回は、ギャンブル依存症のおもな治療法についてお伝えします。依存症に悩む本人や家族が悪循環から抜け出すためのヒントを見つけてください。

ギャンブル依存症から抜け出す 第6回

第5回はこちら〈「自分は病気ではない」──ギャンブル依存症の自覚がない本人を、どうやって病院に? そのとき家族は〉

治療の中心は認知行動療法です。患者さんが医師や心理士、ほかの患者さんのたすけを得ながら、ギャンブルに関する考えや行動を見直していきます。

ギャンブル依存症の人は、長い間ギャンブルにのめりこんできたため、脳機能が変化し、考えや行動にかたよりが生じています。そのかたよりを修正し、元の習慣をとり戻すために、認知行動療法が役立ちます。認知(考え)と行動に働きかける方法で、主に医師や心理士、ほかの患者さんとの対話によって進めていきます。

患者さんは対話などを通じて、過去の出来事やそのときの考え、行動を分析します。そうして自分の考えや行動を見直し、少しずつ変えていきます。その過程で、脳機能のかたよりが少しずつ修正されるといわれています。