釣った魚をクーポンや地域通貨で買い取り 企画書より人の縁がつなぐ、“魚払い”できるビジネスが実現した秘訣

AI要約

中川めぐみさんが好きな釣りを仕事にし、地域活性化を目指す取り組みについて紹介。

「ツッテ熱海」「ツッテ西伊豆」の仕組みや中川さんの体験から始まったきっかけを解説。

地域の課題解決や観光客増加への取り組みを通じて、地域とのつながりを強化している。

釣った魚をクーポンや地域通貨で買い取り 企画書より人の縁がつなぐ、“魚払い”できるビジネスが実現した秘訣

好きを仕事に。魅力的な響きですが、いざ好きを仕事にしようと思ったときに直面するのが「どうやって?」という問題。そんなハードルに対し、「とりあえずジャンプしてみる」ことを選んだのが、中川めぐみさん。

「釣り×地域活性」というテーマだけ決めて、具体的なビジネスプランはないまま独立しました。

中川さんの「好き」から始まった「釣り×地域活性」が、具体的にどのようなかたちで実現したのか、釣った魚をクーポンや地域通貨で買い取る「ツッテ熱海」「ツッテ西伊豆」の取り組みについて聞いていきます。

【中川めぐみ MEGUMI NAKAGAWA】

釣りアンバサダー / ツッテ編集長 / 一般社団法人ウオー代表

1982年富山県生まれ。

GREE・電通で新規事業の立ち上げ、ビズリーチで広報などに関わる。

その間に趣味としてはじめた釣りの魅力に取り付かれ独立。

釣りや漁業を通して日本全国の食、景観、人、文化などの魅力を発見・発信することを目指し、各地で観光コンテンツの企画やPRの仕事に従事。

また漁業ライターとして、釣りや漁業を起点とした情報の執筆を行う。水産庁の「水産政策審議会委員」「水産女子」も務める。

「ツッテ熱海」「ツッテ西伊豆」は、それぞれ静岡県熱海市、西伊豆町で行っている、釣り人が釣った魚を産地直売所がクーポンや地域通貨と交換する仕組みです。

地域側は一本釣りでしか取れない珍しい魚が手に入り、漁師不足による漁獲量減少といった課題を解決でき、釣り人は地域通貨などを使いながら地域のさまざまな魅力を知ることができます。

この仕組みが生まれたきっかけは、1年間で100地域、100釣りを目指して釣りをする中での中川さん自身の体験にありました。

中川「下田でブリを3本も釣ってしまって。絶対食べ切れないし、そもそも持ち帰れる量じゃない。調子に乗って釣ってしまったけど、捨てるなんてあり得ないし、どうしよう……と、仲良くしていただいている熱海の魚市場の社長に電話したんです。

そうしたら、『熱海は今日、魚不足だからちょうだい』と言われて。

魚代にと数千円をいただいたのですが、『このお金を地域外に持ち出すのは違う気がする』と、熱海で食事やお土産の代金に使わせていただいたんです。そうしたら『これって"魚払い”で町を楽しんでるみたい』と思えてきて。

魚市場の社長にお話ししたら、『じゃあ企画として観光客も楽しめるように形にするか』とお話が進んでいったんです」

こうして「ツッテ熱海」の仕組みが生まれ、その後「ツッテ西伊豆」へと続いていきます。

ツッテ西伊豆では西伊豆町役場から正式に仕事として依頼を受け、「漁師不足による漁獲量減少への対策」「観光客や関係人口を増やす起爆剤にする」など、より町の課題解決に深く携わる取り組みにできたそう。