広がる役所の「開庁時間短縮」 オンライン化が後押し

AI要約

役所の開庁時間を短縮する自治体が増えている。職員の時間外労働を減らす「働き方改革」に加え、手続きのオンライン化が進み、来庁者が減っているという。

岐阜県美濃加茂市では、開庁時間を45分間短縮する方針を表明。手続きのオンライン化による来庁者の減少や職員の時間外労働削減などによる背景がある。

美濃加茂市では住民票のコンビニ交付率が高く、住民票の手数料をコンビニ交付で10円に設定するなどの取り組みで、来庁者数が減少している。

広がる役所の「開庁時間短縮」 オンライン化が後押し

 役所の開庁時間を短縮する自治体が増えている。職員の時間外労働を減らす「働き方改革」に加え、手続きのオンライン化が進み、来庁者が減っていることも後押ししているという。

 「市役所の充実した職場環境づくりを目指すなかで、開庁時間の変更という取り組みを開始したい」

 6月末、岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長は、11月から開庁時間を45分間短縮する方針を表明した。「午前8時半~午後5時15分」から「午前8時45分~午後4時45分」に変更する。

 職員の勤務時間と開庁時間は同じで、開庁前の準備で職員が早く出勤するなど、時間外労働が職員の負担になっていた。年間約500万円の人件費の削減効果も期待できるという。

 開庁時間の短縮に動いた背景には、手続きのオンライン化が進み、来庁者の数が減ったこともある。

■住民票の手数料、コンビニ交付は10円に

 美濃加茂市では住民票のコンビニ交付率が昨年度で60.6%。デジタル庁によると、全国の年間の交付率(5月31日現在)は23.9%で、全国的にみても高い。

 交付率向上のため市は独自の取り組みを進めてきた。

 住民票を市役所の窓口で交付すると手数料が300円かかるが、市は3月末までの約1年間限定で、コンビニ交付の手数料を10円にした。市役所にコンビニ交付と同じ機能を持つ機材を設置し、市の職員が操作方法を案内して周知も図ってきた。

 こうした取り組みも実を結び、来庁者数は2019年からの4年間で約3割減ったという。

 「市民が不便さを感じないよう今後もデジタル化を進め、相談が必要な時はしっかり時間を取りたい」と藤井市長。

 美濃加茂市によると、開庁時間の短縮は、茨城県つくば市、愛知県みよし市、大津市、広島県安芸高田市など少なくとも8自治体で実施しているという。