「都知事選で2位」の石丸伸二氏が出馬した「本当の理由」…安芸高田市長時代に残していた「4つのフェイク」

AI要約

広島県安芸高田市を任期中に離れて東京都知事選に出馬した石丸伸二氏が得票数2位を獲得。しかし、彼の市長時代の実績には疑問符がつけられており、市民の間では選挙後も賛否が分かれている。

石丸市政では財政改革やふるさと納税の増加が謳われていたが、実態はそこまで成功していない。例えば、2021年度の黒字化は一時的な要因であるため、再び赤字に転落する可能性が高い。

石丸氏の市政の実績が虚構であったことが明らかになる前に都知事選に出馬した理由は、再選できても求心力が失われる可能性があったからかもしれない。

「都知事選で2位」の石丸伸二氏が出馬した「本当の理由」…安芸高田市長時代に残していた「4つのフェイク」

東京都知事選で得票数2位という大きな爪痕を残した石丸伸二氏。ついこの間まで広島県安芸高田市長を務めていた若き候補者の躍進を、讃える声は少なくない。

では、そもそも彼は中国地方の自治体の長として何を成し遂げたのか。なぜ市長職を投げ出してまで都知事選に出馬しなければならなかったのか。

前編『「石丸伸二氏こそ“政治屋”だ」…!暴走支持者に“脅された”政治アナリストが指摘する「人気者のカネ」と「石丸構文の危うさ」』で、石丸氏の都知事選での言動を検証した国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏が、市長時代の「4つのフェイク」を暴く。

石丸伸二氏が東京都知事選挙で落選した陰で、広島県の安芸高田市では小さな政治劇場の幕が下りた。

石丸伸二前市長の退任に伴う市長選挙で、石丸市政の「継続と改善」を訴えた熊高昌三氏が、「石丸市政の在り方」の見直しを主張した藤本悦志氏に敗れたのだ。

小さな市を舞台にした切り抜き動画による炎上政治は、住民の手によって否定された。市長選の開票が終わった7月7日夜現在、安芸高田市民に対する石丸支持者の罵声がSNSには溢れている。

しかし今後、安芸高田市民は動画で踊らされた同市とはほぼ無関係の人々による侮辱の日々から解放されることになるだろう。

そもそも石丸氏が安芸高田市を捨て、都知事選に転出した背景には何があるのか。

もちろん同市長選挙に再立候補して負ける可能性も十分にあった。

しかし、それ以上に、仮に再選できたとしても彼の実績が虚構であったことがバレてしまうことが問題だったのではないか(石丸氏は都知事選への立候補に際して別の理由を述べていたが、政治屋が新たな選挙に立候補する際に適当を述べるのはいつも通りのことに過ぎない)。

石丸氏の安芸高田市政の主な実績は、財政改革やふるさと納税額の増加とされている。

しかし、実際の石丸市政は財政改革にほぼ成功していない。また、ふるさと納税の伸び率も全国と比べて著しく高かったわけではなく、彼のYouTuber芸による一過性のものに過ぎない。

そのため、その実態が明らかになってしまえば、彼の求心力が失われることは自明だった。それがこのタイミングでの出馬を模索した背景の一つであることは疑う余地がない。

石丸氏は「市長就任以前の5年間は市の財政は実質単年度収支が赤字であった。それを黒字に立て直した」と主張してきた。実質単年度収支とは、前年度の決算からの変動額を表すものだ。この数字が赤字だと財政が前年度よりも悪化したと言える。

たしかに、公表済みの市の決算書によると、石丸市長就任前の予算が執行された5年間、2016年度から20年度決算まで実質単年度赤字であり、石丸市政開始後の21年度には実質単年度収支は黒字に転じている。

しかし、黒字化した2021年度はコロナ禍による特殊要因があり、国からの地方自治体への巨額の財政支援措置があった。ただし、これは一時的な措置なので、22年度決算では当然のように安芸高田市は再び赤字に転落している。

そして、広島県内で安芸高田市と同規模人口の庄原市や大竹市もほぼ同様の数字の変化を辿っていることからも、実質単年度収支の黒字化は石丸市政の成果ではなく、単なる外部要因による一過性の出来事だったに過ぎない。