8億円寄付した市民の遺志を街づくりに…豪商母屋の改修や赤レンガ館・運河など整備

AI要約

宮崎県日南市が油津地区で歴史文化遺産を活用したまちづくりを進める。

市内の戸村精肉本店元社長、戸村サチ子さんが生前、市に寄付した8億円を活用し、周遊の拠点となるガイダンスセンター整備などを計画。

計画は2028年度までの5年間を目指し、堀川運河周辺ににぎわいを創出し、地区の歴史や文化を継承する。

 宮崎県日南市が油津地区で歴史文化遺産を活用したまちづくりを進める。市内の戸村精肉本店元社長、戸村サチ子さん(昨年死去)が生前、市に寄付した8億円を活用する予定で、周遊の拠点となるガイダンスセンター整備などを柱とした計画を今春公表した。高橋透市長は「戸村さんの、油津の歴史文化伝承に役立ててほしいとの思いを継承した」としている。(波多江航)

 「油津の歴史文化遺産を活用したまちづくり計画」は2028年度までの5年間の計画。地区の歴史や文化の継承と堀川運河周辺のにぎわい創出を目指しており、市民からも意見を募ってまとめた。市観光協会などが入る市役所油津別館を改修し、飲食スペースや隣接する堀川運河や飫肥杉に関する資料を展示するコーナーなどを設けたガイダンスセンターとして整備する。

 さらに同地区にある複数の国登録有形文化財も活用。江戸、明治時代に材木商として財をなした「河野宗泰家」の母屋を交流スペースに改修して庭園も整備する。隣接する赤レンガ館へ飲食店の導入も検討し、連携させて集客を図る。また、1929年に堀川運河に架けられ、現在は通行止めとなっている木造道路橋「花峯橋」の復元整備も行う。総事業費は戸村さんの寄付に加え、国庫補助等も含めて15億円と見込む。

 市は現在、同計画に沿った事業計画を立案するコーディネーターと、ガイダンスセンターの設計業務についてプロポーザル方式で公募しており、今後取り組みを本格化させる。

 高橋市長は「(生前に)報告が間に合わず申し訳ない」と話している。