元旅館の空き家が複合施設に再生 6月3日正式オープン 和歌山

AI要約

和歌山県紀の川市粉河地区に位置する空き家旅館「三笠館」がリノベーションされ、複合施設「MIKASAKAN」として6月3日にオープン。施設にはカフェやサウナ、宿泊断が備わり、地域活性化に貢献する。

リノベーションでは、大正時代に創業した旅館を活かしつつ、一部建物を撤去してイベントスペースを整備。地域資源を活用し、国や市の補助金を利用して事業を推進している。

エリアリノベーションにも取り組み、若いスタッフが施設を運営する。訪れた人々を商店街に誘導し、地域全体の活性化を目指している。

元旅館の空き家が複合施設に再生 6月3日正式オープン 和歌山

 和歌山県紀の川市粉河地区で空き家となっていた旅館「三笠館」がリノベーションされ、カフェやサウナ、宿泊施設などを備えた複合施設「MIKASAKAN」として6月3日に本格オープンする。西国三十三所第三番札所「粉河寺」の門前に位置し、近くの商店街「粉河とんまか通り」の活性化につなげたい考えだ。

 三笠館は大正時代創業の高級旅館で、10年以上前から空き家となっていた。市の委託を受けた不動産会社「エンジョイワークス」(神奈川県鎌倉市)が2023年9月、リノベーションに着手。まちづくりに若い世代を巻き込むため、建物解体などの際は、大学生らを対象にワークショップを実施してきた。

 リノベーションでは、建物4棟のうち2棟を撤去し、イベントなどを開くことができるウッドデッキ約200平方メートルを設置。いずれも2階建ての残る2棟は、通りに面した1棟にカフェと4部屋の宿泊施設、もう1棟に中長期滞在用の宿泊施設と貸し切り専用のサウナを設ける。

 事業費は約9000万円で、国や市の補助金を活用。カフェの床に紀州材を使用するなど地域資源を生かしている。カフェのある建物の外観には、かつての商家などで見られた戸板をはね上げて開閉する「蔀戸(しとみど)」を採用した。

 同社は粉河とんまか通り周辺の地域全体の活性化へつなげるエリアリノベーションも市から委託されており、担当する永田大樹さん(28)は「訪れた人たちを商店街通りへと誘導したい。若い人たちはカラオケのような感覚でサウナを楽しんでおり、県内だけではなく、大阪南部の人たちも取り込めるのでは」と期待する。永田さんの他、市地域おこし協力隊の三宅慧(けい)さん(21)、小川凜子さん(22)の2人らがスタッフとして施設の切り盛りをしていくという。

 カフェの営業は午前8時半~午後6時で月曜休み。【藤原弘】