「タワマン節税」「空き家問題」2つの不動産相続ルール変更で何が変わる?マンションや古い物件の活用方法は?

AI要約

マンションの相続税評価額が市場価格より低かったタワマン節税について、新たな評価方法が導入され、公平性が向上した

相続税評価額の調整により、不動産を収益物件として活用することで相続税が抑えられる可能性がある

不動産での相続対策は依然として有効であり、収益物件が相続に有利な状況となっている

「タワマン節税」「空き家問題」2つの不動産相続ルール変更で何が変わる?マンションや古い物件の活用方法は?

今年、不動産の分野で重要な法改正が2つ行われました。いわゆる「タワマン節税」と「空き家問題」それぞれに歯止めをかけるための新制度は、私たちの相続にどう影響するのでしょうか。専門家が分かりやすく解説します。

■不動産での相続対策は、新制度でも依然として有効…収益物件が相続に有利?

まずはタワマン節税について見ていきます。これまでマンションの相続税は、建物と土地それぞれの「相続税評価額」を足し合わせて算出する方法が取られていました。

しかし、住戸数が多いタワーマンションでは1戸当たりの土地の敷地利用権が小さくなるため、市場価格と比べて評価額が非常に低くなる現象が起きていました。

これまで問題視されてきたタワマン節税はこの相続税の計算法を活用していました。市場で高額で取引されているタワーマンションの高層階の物件をあえて購入することで、相続税評価額を相対的に低く抑えてきたのです。

「平成30年の全国の分譲マンションの相続税評価額と売買実例価格(市場価格)の乖離は平均で2.34倍、かつ65%の事例では2倍以上の差があった」と三菱UFJ信託銀行MUFG相続研究所主任研究員の玉置千裕さんも、国税庁のデータを引きつつ指摘します。

つまり、相続税評価額が市場価格の半分以下になるケースが多発していたのです。また、2022年には最高裁がタワマン節税を公平性の観点から問題視する判断を示しています。

そこで今年から国が導入した新たな評価方法では、マンションの階数などを考慮することで、市場価格より少なくとも60%低い程度で相続税評価額が収まるよう調整されました。

今回の変更は「”タワマン節税“がなくなったわけではなく、戸建て物件の相続税との差が是正され、公平性がある形になった」のが実態だと、不動産運用のコンサルサービスを手がける株式会社ヤモリ代表取締役の藤澤正太郎さんは評価しています。

つまり、賃貸など収益物件として正当に活用すれば相続税評価額は下がり、不動産での相続対策は依然として有効だという見立てです。