「今日もまたパン。ご飯食べたい」子どもの嘆きと家庭の不安を無視し、やがて家畜の餌になる備蓄米を頑固に放出しない農水官僚の「屁理屈」

AI要約

コメ不足が混乱をもたらす中、政府は備蓄米を放出せず、家庭では食料不足の影響が広がっている。

備蓄米は緊急の事態に活用すべきだが、政府は放出を拒否し、5年後には家畜の飼料になるとしている。

この状況に疑問を持つ声もあり、国民は米不足の中で政府の備蓄政策を疑問視している。

「今日もまたパン。ご飯食べたい」子どもの嘆きと家庭の不安を無視し、やがて家畜の餌になる備蓄米を頑固に放出しない農水官僚の「屁理屈」

コメ不足が混乱をもたらしている。備蓄米はこうした時にこそ放出すべきだが、政府は応じない。放出すると米価が低下し、米作農家の所得が減るためだ。政府の米作政策の基本は、米価を高く維持することで米作農家の所得を保証するというものだが、その基本構造が破綻している。

夏の終わり頃から米不足が問題となっている。スーパーに行くと、棚に米がない。あっても、「家族1パックにしてください」との貼り紙.慌てて米穀店に電話をかけまくってみると、状況は厳しい。 調査によると、 問題なく仕入れている米穀店は15%しかなく、「仕入れ量が少ない」が66.4%、「できない」が18.6%だという。

家庭の食卓では、子供たちが「今日もまたパン。ご飯が食べたい」と不満を言う。

飢餓状態というほどの深刻な食料不足になっているわけではないし、9月中旬からは、新潟県の農協がコシヒカリを県外に出荷するため、品薄は解消に向かうともいわれている。ただ、全国の家庭に不安と不満をもたらしていことに間違いはない。そして、同じような事態が、来年も起きると予測されている。

これについて誰もが不思議に思っているのは、政府は備蓄米を保有していることだ。

今年の6月末の時点で91万トンと、1600万人が1年間食べられる量を、緊急の用途に必要なものとして備蓄している。

だから、今回のようにコメ不足になったら、政府が備蓄米を放出すれば良いだろうと、多くの人が考えている。ごく当然の考えだ。備蓄米とは、まさにこうした事態でこそ活用すべきものだ。そうすれば、米騒動も一気に収まるだろう。大阪府の吉村知事も、政府に備蓄米の放出を求めている。

ところが、政府はこれを認めないのである。

認めない理由は、備蓄米は緊急の事態に対応するためのもので、今回のような状況ではその要件を満たさないからだと言う。つまり現在の状況は、不足ではないという判断だ。

では、備蓄米を今回のような事態に使わず、備蓄を続けると、どうなるのか? 5年間は倉庫に保存される。そして5年経つと、家畜の飼料などに使われるのである。

これを知ると、唖然としてしまう。米不足の世の中には放出せずに、5年間費用をかけて後生大事に保存し、その挙句に家畜の飼料に使うとは!

しかも、このように処分されるために、費用がかかる。年間約500億円程度の財政負担が生じる。それは当然国民の負担になる。

人間は望むだけの米が食べられず、多額の費用をかけて、家畜の飼料にするために備蓄するというのは、どんなブラックジョークも敵わない高度のブラックぶりだ。