南海トラフ地震臨時情報 静岡県民の認知度6割強 物資7日分備蓄率は減少

AI要約

南海トラフ地震臨時情報に関する県民意識調査の結果が公表された。認知度は大幅に上昇し、能登半島地震後よりも広く認知されていることが示された。

一部の物資における備蓄量は微減しているものの、全体的には増加傾向にある。特に7日以上の備蓄は減少したが、県は引き続き備蓄の徹底を働きかける考え。

18.2%の人が予定を変更したことについては、情報の受け取り方が慎重である可能性を示唆し、今後の情報発信の在り方について検討が必要との指摘があった。

南海トラフ地震臨時情報 静岡県民の認知度6割強 物資7日分備蓄率は減少

 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表を受けて県が実施した県民意識調査が20日、公表された。臨時情報の認知度は「内容をおおむね理解している」が6割強、「聞いたことがある」を含めると9割弱で、能登半島地震発生後に実施した前回調査の結果より大きく伸長した。一方で、7日分以上の備蓄をする人は能登半島地震後より減少した。鈴木康友知事は臨時情報について「南海トラフ地震は必ず来る、と県民が注意できた点では啓発につながった」と効果を挙げた。=関連記事24面へ

 今回の調査は8月23日~9月10日にインターネットで実施し、5890件の回答を得た。

 認知度について、臨時情報発表前に実施した前回調査で「内容をおおむね理解している」と答えたのは37・0%だったが、発表後は66・1%に伸びた。南海トラフ地震への関心度は「非常に関心がある」が前回の81・7%から68・3%に減少したが、「多少関心がある」と合計すると、97・4%の高水準を維持した。

 物資について「1日分以上の備えがある」とした人を合計すると、食料90・2%(前回93・2%)、飲料水90・8%(同92・0%)、携帯トイレ・簡易トイレ64・5%(同65・1%)と、それぞれ微減したが、能登半島地震以前と比較すると増加傾向にある。

 南海トラフ地震の場合、被害が広域におよび支援物資が届くまでに時間を要する可能性がある。国や県が推奨する「7日間以上」の備蓄が減少したことについて県は、能登半島地震後に購入した備蓄品が切れた、お盆期間中で供給が足りず購入できない人が多かったなど複合的な要因を挙げた。鈴木知事は「(備蓄品が切れた後に補充する)ローリングストックなどによる備蓄の徹底へ啓発を強化する」とした。

 予定を変更した人が18・2%だったことに関して、鈴木知事は「数字だけでは判断できない」とした上で、「地震に注意しながら日常生活を送ってくださいという情報発信で、受け取った側は悩んだかもしれない。今後、国がどう整理するか注視する」と述べた。

 (社会部・菊地真生)