「令和の米騒動」救うカギは「高温耐性品種」 コシヒカリ“一強”は終わり“群雄割拠”の時代へ

AI要約

米不足の原因とされる猛暑により、昨年の1等米比率が大幅に低下し、新しい高品質な品種が評価されている。

特に暑さに強い新しい品種「新之助」が注目されており、コシヒカリの品質が落ち込んでいる中で存在感を示している。

過去の米不足の歴史とは異なり、暑さに強い品種の需要が高まっている状況を示唆している。

「令和の米騒動」救うカギは「高温耐性品種」 コシヒカリ“一強”は終わり“群雄割拠”の時代へ

 スーパーの棚や米店から米が消えたのは8月中旬。9月に入り新米が入荷し始めたものの、高値が続いている。米不足の原因とされる「猛暑」に強い新しい品種が評価を高めつつある。

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■米が入ってこない

「先月下旬から米がほとんど入ってこない。売り物がないので、商売あがったりです」

 そう嘆くのは、埼玉県越谷市の浅見米店の3代目店主・浅見正史さんだ。

 浅見さんは、全国の米どころから厳選した50種類あまりの銘柄米を扱ってきた。ところが、8月中旬に客が殺到してあっという間に完売。記者が訪れた9月中旬、店頭に置かれていたのは3週間ほど前に入荷した新米、千葉県産のコシヒカリ(5キロ、3490円)が一山だけだった。

「しかも、高い。品不足の影響で、千葉県産コシヒカリが例年の(新潟県)魚沼産とほとんど変わらない値段になっている」(浅見さん)

■1等米比率4.7%の衝撃

 米不足の原因の一つとされるのが昨年の猛暑だ。記録的な高温の影響で、白く濁った「白未熟粒」の割合が増えてしまった。消費者の欲しがる高品質の米が不作となった。

 昨年産の、最も品質がよい「1等米」の比率は全国60.9%(2024年3月末日)で、前年同時期を17.6ポイントも下回った。

 最も影響が大きかったのは作付面積、収穫量ともに全国一の新潟県産の米だ。同県の有識者会議「令和5年産米に関する研究会」によると、「米の品質は大幅に低下」。なかでも作付面積の6割以上を占めるコシヒカリの1等米比率は4.7%と、平年75.3%に比べ激しく落ち込んだ。

 一方、94.7%と、例年同様の高い1等級比率を保った品種もある。県産のブランド米「新之助」だ。新之助は高温に強い特性を持つ品種として17年秋にデビュー。その特性を遺憾なく発揮した。

 かつて、米の品種開発では「寒さに強い」ことが重要で、生産地を北に広げてきた。

「それでも、1993年の大冷害では東北地方の米は大きな被害を受けた。米不足でタイ米を輸入する事態になり、『平成の米騒動』が起こった。ところが、今回は猛暑で『令和の米騒動』が起きた。暑さに強い米が必要という、この30年で真逆な現象が起きている」(同)

■コシヒカリは消える?

 今後、新潟県のブランド米は暑さに強い新之助に切り替わり、「コシヒカリ」は消えていくのだろうか。