新潟の商店街が人気ゲームFortniteのマップとして登場!メタバースを推進する代表が語る、地方の風景再現の魅力とは?

AI要約

国土交通省が提供する3D都市モデル「PLATEAU」を活用してFortnite上で新潟市内の「古町商店街」や商業施設「古町ルフル」が再現された。プロジェクトの目的はメタバースと地域の融合を図り、若年層や地域の企業、行政、学校、団体に新たなチャレンジを促すこと。

株式会社モンドリアンなどの協力により、Fortnite内で実際の地方商店街を再現するアイデアが実現。苦労は想定外にチームメンバーの積極性が高く、提案が豊富であったこと。マップの公開後も多くの人に活用してもらうことがゴールであり、これからの挑戦が重要。

古町商店街のリアルな再現やワイヤーアクションでの爽快な移動が注目ポイント。新潟の特産品や文化的要素も取り入れられ、今後は地元の祭りや伝統的建物の登場も予定。

新潟の商店街が人気ゲームFortniteのマップとして登場!メタバースを推進する代表が語る、地方の風景再現の魅力とは?

実際の地形データを基にした3Dマップを作成するためのプラットフォームとして、2020年に誕生した国土交通省が提供する3D都市モデル「PLATEAU」。現在、多くの地方公共団体や民間企業、多様な研究者、エンジニア、クリエイターらが参加するプラットフォームとして成長を続けており、都市計画、防災、観光など幅広い分野で活用されている。

そんな「PLATEAU」を活用して、Fortnite上で誰でも遊べる公開マップとして、新潟市内の「古町商店街」や商業施設「古町ルフル」が再現された。今回は、ジグノシステムジャパン株式会社とマップの共同開発を行った、株式会社モンドリアンの代表取締役の角田拓志さんにメタバース上での風景再現に対する想いなどを聞いてみた。

――Fortnite「新潟県古町ルフル」マップの公開に関して、目的やターゲットなどについて教えてください。

新潟県古町ルフルマップは、国土交通省の日本全国の都市デジタルツイン実現プロジェクトと、世界的な人気ゲームであるFortniteを組み合わせた当社発信のプロジェクトです。地域ごとにメタバースの産業を新たに生むことをミッションとしており、机上の空論を議論するだけで白黒つけられていない現状を打破することをまずは目指しています。消費者としてのターゲットは若年層を中心にしていますが、地域の企業、行政、学校、団体、メディアにもこの領域に踏み込んでいただき、新たなチャレンジをしてもらいたいという狙いもあります。

――Fortnite内で実際の地方商店街を再現するアイデアはどのようにして生まれましたか?また、その実現に向けて苦労した点などあれば、それをどうクリアしたかとあわせて教えてください。

もともとFortniteなどのメタバースの実際の街を再現するというのは、昔からやられてきた取り組みだったので、私発信のアイデアというわけではありません。メタバースやゲームでは、これまでも渋谷や秋葉原などの人気の都市が多く取り扱われてきました。ただ、私自身も地方出身者として、全国区の地域ではなくても、規模は違えどその魅力や価値、住む人たちの熱量は劣っていないと感じていました。そこで新潟、愛媛、熊本、静岡、大分などの地域での再現を始めました。実現において苦労するかなと思っていたのは、ゲームクリエイターの人たちに「そんなの意味ない」と理解が得られないことでしたが、非常にチャレンジングな人たちが多く、むしろ積極的にいろんな提案が出てきて、完全に取り越し苦労でした。メタバースを公開した時点がゴールではなく、その後に多くの人に活用されるのがゴールだと思っており、まだまだスタートラインに立ったばかりです。これから多くの人にこの事業について理解していただき、協力いただくことで成功が見えてくるので、苦労はこれからかなと思っています。

――今回公開されたマップの注目ポイントを教えてください。

古町商店街のリアルな再現はもちろん、モデルを活かしてワイヤーアクションで商店街内を颯爽と移動する爽快感は、Fortniteのゲーム性があってこその魅力で、ファンタジー世界で体験するよりもより実感が湧くため、非常にエキサイティングなコンテンツとして、お楽しみいただけると思います。これから新潟の皆さんと一緒にマップを盛り上げていきたいので、今後リアルとメタバースの融合による施策に注目していただきたいです。

また、ゲーム内では商店街の景色に加えて、お米や錦鯉、トキなどが登場するなど、新潟の特産品や文化的な要素も登場します。今後開発していくマップでは地元の祭りや伝統的な建物なども登場させていきたいと考えています。

――メタバースで風景を再現する魅力と可能性を教えてください。

メタバース上で風景を再現することの魅力には、「距離や時間に縛られずに地域の魅力を世界中の人々に体験してもらえる点」などが真っ先に挙げられがちです。しかし、私はそれ以上に、地元の皆さんが愛着を持って活用できる仮想空間が存在し、それをうまく使うことで課題を解決したり、新しいことへのチャレンジにつながったりすることが、一番の価値だと考えています。

新潟では信濃川の氾濫により不作になった農家が、和釘づくりを副業として開始し、その流れから金物産業が盛んになったと聞きます。先人は先進技術へ挑戦し、一歩ずつ課題を解決し、最終的にそれを産業化したということです。メタバースに限らず誰かのチャレンジはどこか他人事になりがちですが、地域の一人ひとりの自分事としてのチャレンジが、のちに大きな産業になっていくことは実際に起こっていることです。近い将来、語り継がれるような産業開発を、地元の皆さんが主役で成し遂げていきたいと思っております。

今回新潟市の古町ルフルの再現マップを公開した株式会社モンドリアンは、ほかにも大阪府の夢舞大橋や、熊本県玉名市の菖蒲まつり、近日公開予定の愛媛県松山市中心部など、Fortniteを用いた地域マップを制作・公開している。地域の過去・現在を保存し、未来を創り出すゲーム内の再現空間は要チェックだ。なお、今回紹介したマップは無料でプレイすることができる。

文=平岡大和