人口470人の島で過去最高売り上げを記録した商店 3代目が貫いた変化を恐れぬ店舗改革

AI要約

伊豆諸島の式根島にある商店・ファミリーストアみやとらは、3代目の宮川央行さんが観光客数の変動や仕入れ環境の変化にも負けずに成長させた成功事例です。

宮川さんは島の特産品を活かしたオリジナル商品の開発やキャッシュレス決済の導入など、積極的な経営努力を続けています。

家業を継ぐため、都会での就職を断り、宮川さんは帰郷してみやとらの店を手伝い始めました。

人口470人の島で過去最高売り上げを記録した商店 3代目が貫いた変化を恐れぬ店舗改革

 伊豆諸島の式根島(東京都新島村)は、本土から160キロ離れた人口約470人の島です。島の流通を担うのが、昭和初期から続く商店・ファミリーストアみやとらです。3代目の宮川央行さん(51)は、観光客数の浮き沈みや仕入れ環境の変化にさらされながらも店を成長させ、年商を1億3500万円に乗せました。その陰には、島の特産品を使ったオリジナル商品の開発、キャッシュレス決済やPOSレジの導入、スキマバイトアプリを使った負担軽減など、変化を恐れない経営努力がありました。

 みやとらの店内に入ると、ずらりと並んだ3千点の商品が目に入ります。手づくりのお弁当や総菜の種類が豊富で、式根島産のアシタバの天ぷらや、米と具材を魚のすり身に包んで揚げたオリジナル商品「たたき丸」(250円、税込み)が、観光客から人気です。島内各所への弁当の宅配なども手がけています。

 宮川さんの曽祖父が昭和初期、島で豆腐を作って販売したのが商売の始まりです。1963年、祖父が正式に店を立ち上げた後、宮川さんの父・清澄さん(80)と母・松世さん(76)が、肉や弁当など商品数を拡大しました。

 長男の宮川さんは子どものころから、レジ対応などを手伝いました。高校からは本土にわたり、大学まで進みます。就職先を考える際、両親から「東京で仕事をしてもいいけど、夏は店を手伝いに帰ってこい」と言われました。

 「夏に長期休暇が取れる就職先は少なく、就職氷河期でもあったので、在学中からアルバイトしていた、ホテルの宴会場などでの配膳の仕事を続けました」

 配膳の仕事の傍ら、夏は式根島で店を手伝う生活を2年ほど続けました。同じころ弟の純さん(45)が結婚して島に戻ることになり、「自分一人では店を回せないから帰ってきてくれ」と頼まれました。

 配膳の仕事を通じて正社員になる道もありましたが、宮川さんはその誘いを断り、1999年に帰郷して店に入ります。