「1日たった20杯」から月商500万円まで10年…どん底の「六厘舎初代店長」を救ったアルバイト女性の夫婦物語

AI要約

中学生時代に将来の夢を持ち、ラーメン店オーナーを目指す瀨戸口亮さんの物語。

ラーメンの味だけでなく、接客や店の雰囲気の大切さを学び、名店を訪れることで自らの道を見つける。

瀨戸口さんが憧れる名店や師匠に出会い、つけ麺の魅力やプロ意識を身につけていく様子。

■中学生で「サラリーマンにはなりたくない」

 JR・東京メトロなどの北千住駅から徒歩5分。北千住駅前通りから一本路地に入った場所につけ麺の名店がある。「つけめん さなだ」だ。

 2014年に埼玉県三郷市でオープン。「食べログ」では3.74点を誇り、北千住のラーメンランキングでは1位に輝いている(2024年8月20日現在)。店主の瀨戸口亮さんと妻のまやさんで切り盛りしている。

 店主の瀨戸口さんは神奈川県川崎市生まれ。その後、埼玉県越谷市で育つ。小中時代から先輩・後輩の上下関係に悩み、将来はサラリーマンにはなりたくないと誓ったという。この頃からラーメンが好きで、ラーメン屋になることを中学時代から決めていた。

 高校を中退し、定時制の浦和商業高校に通う。自由を求めて家を飛び出し、アルバイトに明け暮れる日々だった。

 この頃は浦和駅の高架下にあった「がんこラーメン」でアルバイトをしていた。アルバイトという雇用形態でもしっかり従事すれば調理師免許が取れることを知り、ちゃんとした修行を始める前に免許を取ってしまった。

 それから全国のラーメン店の食べ歩きをスタート。本格的な専門店を回るようになる。

■味も大事だが、最後のピースは「接客や店の雰囲気」

 「自分がいいと思ったラーメンを、地元・埼玉で出そうと思い、各地を食べ歩きました。その中で出会ったのが門前仲町にある『こうかいぼう』さんでした」(瀨戸口さん)

 名店「こうかいぼう」は煮干し、魚介系がまっすぐに効いた無化調(うま味調味料不使用)のラーメンを提供。瀨戸口さんは、それまではラーメンの味にしか興味はなかったが、味だけではなく接客の大事さを知ったという。

 「『こうかいぼう』さんは“人柄”が成す味を教えてくれました。2回目に食べに伺った時に、女将さんはもう顔を覚えてくれていました。ラーメン自体の味はもちろん大事ですが、最後のピースは接客やお店の雰囲気であるということを学びました」(瀨戸口さん)

 瀨戸口さんは「こうかいぼう」に弟子入りを志願したが、あいにく従業員を募集しているタイミングではなかった。店主からは「君ならどこでもやっていける」と背中を押してもらった。

 次に瀨戸口さんが出会ったもう一つのお店が「六厘舎」だ。その後の東京のつけ麺ブームを牽引することになる名店。つけ麺にはそれまで興味はなかったが、「六厘舎」で食べて衝撃を受ける。

 「つけ麺にはこんな凄いものがあるのかととにかく驚きました。とんでもないインパクトで、“つけ麺専門店”の出すつけ麺のパワーを知りました」(瀨戸口さん)