現代の「レーサーレプリカ」大ヒット中! 見た目だけでなく走りもヘリテージを感じさせるヤマハ「XSR900GP」公道での印象は?

AI要約

ヤマハの「XSR900 GP」は1980年代のGPレーサーをオマージュしたスタイルで人気のモデル。エンジンやマフラーを露出させたハーフカウル仕様や、カウルの形状が懐かしい雰囲気を演出。

エンジンは888ccの3気筒ユニットで、120psの最高出力を誇り、ダッシュ力が魅力。ハンドリングは安定志向で、バンクする時間を楽しむ走り方が似合う。

「XSR900 GP」は「XSR」シリーズで初めてのカウルつきモデルであり、過去のヘリテイジを現代の技術で再現。他ブランドからも同様のフォロワーが登場する可能性も。

現代の「レーサーレプリカ」大ヒット中! 見た目だけでなく走りもヘリテージを感じさせるヤマハ「XSR900GP」公道での印象は?

「ジャパンモビリティショー2023」でお披露目されたときから、1980年代のGPレーサーをオマージュしたスタイルで話題を集めてきたヤマハの「XSR900 GP」。2024年5月に待望の発売がスタートしてからも、年間の販売計画台数を約1か月で上回るなど人気モデルとなっています。

 レーシングバイクのようなスタイルというと、現代ではスーパースポーツを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、「XSR900 GP」の雰囲気はバイク人気が盛り上がっていた時代にサーキットを走り回っていたGPマシンそのもの。エンジンやマフラーがあえて露出したハーフカウル仕様とされている点も、当時を知るライダーにはグッと来ます。

 カウルの形状も、近年のバイクで見られる尖ったスタイルではなく、1980年代のGPレーサーやそれを模したレーサーレプリカを思わせるもの。個人的には、1985年に登場した初期型の「TZR250」を思い出しました。

「ジャパンモビリティショー2023」で展示されていたのは、往年のマルボロカラーを思わせる赤白のカラーでしたが、今回の試乗車はシャープな印象を与えるグレーの車体カラー。こちらもなかなか魅力的、というか、自分で所有するなら目立ち過ぎないこの色を選ぶかもしれません。

 実際にまたがってみても、視界に入る光景は現代のスーパースポーツとは異なるもの。トップブリッジ上にマウントされたセパレートハンドルや、カウルをマウントする丸パイプのステーなどが懐かしさを感じさせるだけでなく、細部の仕上げも高品質で所有欲をくすぐります。

●走りの味つけも当時を思い出させるもの

「XSR900 GP」に搭載されるエンジンは、ヤマハが誇る888ccの3気筒ユニット。最高出力は120psですが、スペックを感じさせない強烈なダッシュ力が持ち味です。

 同社の「MT-09」に搭載されるものと同じパワーユニットで、フレームなどの基本設計も共通の2台ですが、その乗り味は全く異なっているのが面白いところです。

「MT-09」の加速は、油断をすると振り落とされそうになる激しいものですが、「XSR900 GP」は前傾姿勢で車体との一体感が高いこともあり、わずかながら安心してアクセルを開けることができます。

 ハンドリングは、「MT-09」とも、スーパースポーツの「YZF-R1」などとも異なるユニークなもの。「XSR900 GP」はスイングアームが長めとなっているため、どちらかというと安定志向の味つけです。

 フロントに荷重してコンパクトに曲がるスーパースポーツ的な曲がり方よりも、リアのトラクションを感じながらバンクしている時間を楽しむような走り方が似合います。

 こうしたハンドリングも、1980年代のレーサーレプリカ勃興期のバイクに近いもの。スタイルだけでなく走りの味つけも、当時を思い出させるものに仕立てられています。

 ヤマハは「XSR」シリーズを“スポーツヘリテイジ”というカテゴリーに位置づけていますが、そこにカウルつきのモデルが加わるのは「XSR900 GP」が初めて。

 昨今、過去のヘリテイジを感じさせるバイクを現代の技術で生み出す手法を多くのブランドが採り入れています。スマッシュヒットを記録した「XSR900 GP」のフォロワーが、今後、他ブランドからも登場するかもしれません。

●製品仕様

・価格(消費税込):143万円

・サイズ:2160×690×1180mm

・ホイールベース:1500mm

・シート高:835mm

・車両重量:200kg

・エンジン:水冷並列3気筒DOHC4バルブ

・総排気量:888cc

・最高出力:120ps/1万rpm

・最大トルク:93Nm/7000rpm