食べものをちゃんと選べるミライへ フードテックは未来の食にどう貢献するのか

AI要約

フードテックとは、食料不安や持続可能性の課題を解決する最先端の技術を指す造語であり、市場規模も急速に拡大している。

代替食品の普及や健康志向の高まりにより、フードテックは注目を集めているが、添加物や塩分過多といった懸念もある。

消費者は、「超加工食品」や健康面を考慮しながらフードテック製品を選択する必要がある。

食べものをちゃんと選べるミライへ フードテックは未来の食にどう貢献するのか

「フードテック」という言葉をよく目にするようになった。

フードテックとは「フード」と「テクノロジー」を組み合わせた造語で、人口増加による食料不安や持続可能ではないサプライチェーンなど、「食」や「食料システム」のかかえる課題を解決する最先端の技術のことだ。

フードテック関連の市場規模は2020年時点で24兆円。2050年には280兆円に成長するという試算もある。

フードテックの先には、どんな「食」のミライが待っているのだろう?(食品ロス問題ジャーナリスト/井出留美)

フードテックを体験しようと、東京都内のある飲食店へ足を運んだ。メニューには代替卵のオムライスや代替肉のハンバーガーなどが並んでいる。客層は10~30代の若者で、外国人が多い。

運ばれてきたオムライスは鮮やかな黄色で、見た目はとろとろの半熟卵そのものだが、口に入れてみると卵の風味がなく、「あれッ?」となる。それもそのはず、代替卵の原材料は白インゲン豆とニンジンなのだ。

淡白な代替卵の味を補うためか、味の濃い植物性デミグラスソースがたっぷりかけられている。玄米とみじん切りのカリフラワーを合わせたライスに代替卵とソースをからめて食べると違和感はなくなる。

スーパーに行けば、ハンバーグ、カルビ、チーズ、ウニにカニと、植物性の代替食品がたくさん並べられている。

いろいろと試してみた印象は、オリジナルの食品の味や食感に近づけようとするあまり、さまざまな添加物を加え過ぎているのではないかというものだ。特に味のものたりなさを補うために塩分が多くなりがちなのは気になる。

じっさい代替食品の塩分含有量を調査した英国のロビー団体「Action on Salt」は、対象207食品のうち75%は英国政府の推奨量を超えていたと指摘している。

植物性代替食品は低脂肪・低カロリー・低コレステロールで、肥満や糖尿病などの生活習慣病対策になると期待されている。だが、製造工程で多くの食品添加物を加えられた「超加工食品」である場合が多く、必ずしも健康にいいとは限らないことは知っておいた方がいいだろう。

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【筆者注】

「超加工食品」とは、元の原材料が想像できないほどのレベルで加工された、工場でつくられた食品のこと。一般の台所には見当たらない食品添加物が含まれ、われわれの祖父母の時代には使われなかった食材が使われているのが特徴。ただし、フードテック食品のすべてが「超加工食品」というわけではない。

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では、わたしたちはフードテックとどうつきあっていけばいいのだろう?