地元住民との摩擦は本当か?...ニセコ地元住民の悩みをすっかり解消した「外国人観光客」との付き合い方

AI要約

ニセコは世界中の富裕層が訪れる冬の高級リゾート地に成長したが、その成功には外国資本の戦略や不動産投資の影響が大きい。

不動産価格の上昇により地元住民の生活に影響が出ているが、流入人口は多く、外国人とのトラブルも実際には少ない。

外国籍住民や日本人住民の調査結果から見ても、外国人とのトラブルは半数以下であり、共生が進んでいる。

地元住民との摩擦は本当か?...ニセコ地元住民の悩みをすっかり解消した「外国人観光客」との付き合い方

今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。

*『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。

『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第45回

『札幌にも海外の富裕層が!?...北海道新幹線の延伸で訪れる外国人観光客が、札幌に求める「意外なモノ」』より続く

ニセコにおける不動産価格の上昇により、自らの土地に新築アパートを建設したり、所有不動産を売却したりすることで潤う地元住民がある反面、静かで自然豊かなのんびりとした生活を求めていた地元住民のなかには、固定資産税の上昇、家賃や物価の高騰による家計負担増、ゴミ出しのルールなど外国人とのトラブルを嫌い、一部住民が流出する動きもあるとされる。

しかし、俱知安町やニセコ町の人口動向を見る限り、流入人口も多く、その影響は全体としては数字上ほとんど確認できない。

俱知安町では、町内の外国籍住民と日本人住民を対象にした「多文化共生のまちづくりアンケート調査結果」が2020年1月に公表されている。外国籍住民において、「近くに住む日本人とのトラブル経験について」(複数回答)では、たとえば、ゴミ出しのルール(15・3%)、駐車・駐輪(10・3%)、言葉の行き違い(5・4%)、建物の増改築(3・9%)、店舗や宿泊施設の営業(3・9%)、部屋からの騒音(2・0%)などが挙げられる一方、「特にない」との回答が49・8%を占めており、ほぼ半数がトラブルもなく過ごしている結果となっている。

逆に日本人住民において、「外国人が関連した、近所でのトラブル経験について」(複数回答)では、ゴミ出しのルール(16・3%)、駐車・駐輪(9・4%)が同様に上位を占め、以下、部屋からの騒音(5・4%)、言葉の行き違い(3・0%)、ペット(1・9%)、部屋の使い方(1・5%)などが挙げられる一方、「特にない」との回答が48・8%を占め、外国人住民同様に、ほぼ半数がトラブルもなく過ごせている結果となっている。俱知安町の外国人増加がいわれてから時間が経過していることも背景にあるだろう。