バブル期の超豪華客車「夢空間」を“清瀬市”へ 「完全修復します」「活用します」保存とどう両立? 担当者に聞いた

AI要約

1989年に製造された豪華寝台車「夢空間」は、豪華な内装や設備を持つ超豪華列車であり、保存されることになった経緯が興味深い。

清瀬市が「夢空間」を中央公園に移設し、オリジナル復旧を行う計画で、市民からの支持を集めている。

市は民間企業との協力を通じて、「夢空間」の修復や活用計画を具体化していく予定だ。

バブル期の超豪華客車「夢空間」を“清瀬市”へ 「完全修復します」「活用します」保存とどう両立? 担当者に聞いた

 1989(平成元)年に、24系寝台車の最後の新製車両として製造された「夢空間」。前年に日本国内を走行した、欧州の豪華寝台列車「オリエント急行」の影響を受けて、「近未来の寝台列車」として製造された超豪華車両です。

「夢空間」は、1車両の定員が6名で個室内に風呂を備えた個室寝台車「デラックススリーパー」、自動演奏ピアノやバーカウンター、美しい飾り窓を備えたラウンジカー「クリスタルラウンジ スプレモ」、超大窓から流れ行く景色を眺められ、個室席も備えた展望食堂車「ダイニングカー」の3両から構成されます。「ななつ星 in 九州」など現代の超豪華クルーズトレインと比べても、勝るとも劣らない内装を備えていました。

 そんな「夢空間」は2008(平成20)年の引退後、2か所に分かれて保存されます。

「デラックススリーパー」は、フレンチレストラン「アタゴール」(東京都江東区)にて、車両内で食事できるスペースとして現在も活用されています。

 残るラウンジカーとダイニングカーは、商業施設「ららぽーと新三郷」(埼玉県三郷市)にて保存されましたが、ラウンジカーがフリースペースとして使用されただけで、食堂車はほとんど公開されることもなく、荒廃が進んでいました。

 そうした中、東京都清瀬市が2024年夏、ラウンジカーと食堂車を「ららぽーと新三郷」から清瀬市中央公園に移設すると発表。オリジナル復旧するとし、クラウドファンディングも行われています。

 なぜ「夢空間」を保存しようとしているのか、市に聞きました。

 回答してくれたのは、清瀬市経営政策部の木原雄嗣参事です。

──「夢空間」をどのような経緯で保存することになったのですか?

(木原参事)本市では、令和8(2026)年2月を目途に児童館等複合施設を、同年10月には中央公園をフルオープンする予定です。この複合施設と公園は、多世代交流の拠点にしたいと考えていることから、公園内に新たなにぎわいを創出するためにも、市内外から多くの方に訪れていただけるための良い仕掛けがないか、市民ワークショップで出た意見や話し合いを通じ、保存鉄道車両が最適であるとの結論に達しました。

 しかし、車両の確保は簡単ではなく難航していた折、三井不動産様へ「ららぽーと新三郷」にある車両について問い合わせたことをきっかけに、鉄道車両を公園内に設置することで、先述の趣旨にご賛同いただく形で「夢空間」の譲渡が実現する運びとなりました。

──保存するのは、ラウンジカーと食堂車で、寝台車の譲渡は考えなかったのですか。

(木原参事)考えておりません。

 清瀬市のクラウドファンディングの告知では、「貴重な車両の完全修復」「オリジナルの姿に復活させたのちに2両を連結し、屋根をかけた状態で保存する」とされています。また「内装リニューアル」「空調・電装系の修理」「失われたパーツの制作」とも。市は「夢空間」活用にあたり、民間企業から意見などを聞くサウンディング型市場調査を実施するとしていますが、この「オリジナルに戻す」がどの程度の修復を考えているかによって、今後の活用方法は変わると思われます。