「日本人は休まなさすぎる」”3週間の夏休み”が当たり前のデンマークに移住して分かった、休むことの「ほんとうの意味」

AI要約

デンマーク人は、休むことで成果を出すというマインドセットを持ち、ワークとライフをうまくバランスさせている。

デンマークの国際競争力やビジネス効率性の高さは、休みを大切にすることによって生まれている。

デンマーク人は仕事とプライベートを切っても切れない関係として捉え、休むことを積極的に捉えている。

「日本人は休まなさすぎる」”3週間の夏休み”が当たり前のデンマークに移住して分かった、休むことの「ほんとうの意味」

今年も夏休みの季節がやって来た。あなたはワクワク楽しく夏休みを迎えているだろうか。それとも、まだ終わっていない仕事に頭を抱え「休んでる場合じゃないのに!」とストレスを感じているだろうか。

北欧デンマークに暮らして15年になる筆者は、少し前まで「夏休みを楽しめないタイプ」だった。いや、それなりに楽しんでいたつもりではあったが、終わっていない仕事や、返信していないメールが常に脳裏をかすめていた。仕事のメール、所属しているグループのチャット……やり取りが気になり、せっかくの休暇にも「追われている感」が抜けないことが多々あった。

だが、拙著『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHPビジネス新書)執筆のためにデンマーク人にインタビュー取材をして、彼らの言うことを実践してみてから、休暇を楽しむコツがつかめてきた気がする。仕事で成果を出すためには、休んだ方がいい。デンマーク人のマインドセットが、やっと身体を通して理解できるようになった。

デンマーク人の夏休みは基本が「3週間の連休」である。

それにもかかわらず、デンマークの国際競争力は2年連続1位(2022・2023年)、ビジネス効率性は5年連続1位(2020年~)に輝いている。デンマーク人は働きまくって成果を出しているのではなく、休みまくって成果を出しているのである。

いったいどういうことなのか。

デンマークの首都コペンハーゲンは、ワークライフバランスを実現している都市第1位に選ばれた(2023年フォーブス調査)。春から夏の晴れた日のウォーターフロントや芝生には、平日の午後から水着姿で寝そべって日光浴をするデンマーク人で溢れている。

そんなデンマーク人にとって、「ワーク」と「ライフ」は対立するものではない。デンマーク人にとって「ワーク」と「ライフ」は、どちらかが存在しなければもう一方が存在できないような、切っても切れない相互補完関係にある。

一流のビジネスパーソンですら「休まないと仕事なんてできない」「休むことで仕事への高いモチベーションをキープできる」「子どもと一緒に過ごせる時間はとても貴重だ」と、休むことの大切さを口々に説く。

もちろん個人差はあるが、デンマーク人は「仕事が忙しくて、休んでる暇なんてない!」と一生懸命仕事に邁進し続けるよりは、「休みを取るから、仕事で成果を出せるんだ!」と、休むことに驚くほど肯定的で、意欲的だ。「休むからこそ良い仕事ができる」と考え、「プライベートが上手くいっているからこそ仕事でも成果を出せる」と考えるのだ。

そんなデンマーク人に囲まれながら、ひとりで長時間労働や休日返上で仕事をしていると、「大丈夫? 家族とは上手くいってるの?」と、妙に心配されてしまうことがある。

デンマーク人の頭のなかで「ワーク」と「ライフ」はセットなのだ。「ライフ」を充実させるために「ワーク」があり、「ワーク」で成果を出すために「ライフ」を大切にする。幸せな人生を送るためには、「ワーク」も「ライフ」もどちらも欠かせないのだ。