僧侶で保護猫活動をするネコ坊主さんがみた、寂しがり屋で甘えん坊なネコの姿「孤独を愛する生き物って本当?」
ネコ坊主さんと地域ネコの保護活動についての名言集が刊行された。ネコさんを通じて、おひとりさまの生き方に関するヒントが得られる。
ネコさんは孤独を愛する生き物とされるが、実際にはそうではない。ネコさんは命をつなぎ、日々をひょうひょうと生き抜いている。ネコさんは特別な存在であり、仏門に生きる僧侶にとっても大切な存在である。
ネコ坊主さんの家にやってきたネコ、弥太郎。保護ネコとして迎え入れられた彼は、最初は家族に愛されていたが、突然の引き取りによって悲痛な鳴き声を上げる。ネコもまた、愛情を求める存在であることを示している。
「心を楽にする言葉」と地域ネコの保護活動の写真を組み合わせたSNSの投稿が人気の僧侶、籔本正啓さんこと通称ネコ坊主さん。「おひとりさまの天才」であるネコさんたちと、そんな彼らを常にみているネコ坊主さんによる名言集『ネコさんの「心にしみる」おひとりさま名言』が刊行に。今回はそこから、一部抜粋・再編集してご紹介します。おひとりさまをご機嫌で生きるヒントが見つかるかもしれません――
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◆ネコ坊主さん
皆さん、こんにちは!一向山専念寺(いっこうざんせんねんじ)・第25代住職の籔本正啓(やぶもとしょうけい)と申します。
当山・専念寺は、大阪市内で最多の人口を抱える平野(ひらの)区、なかでも築100年を超える古民家や寺社が密集する喜連瓜破(きれうりわり)で根を張り、420年余。あの豊臣家ゆかりのお寺です。
ご本尊(ほんぞん)は阿弥陀如来(あみだにょらい)さま。絵馬はラブリーなハート型です。
――などと申し上げても、あまりピンと来られないかもしれませんね。
おそらく、「ネコ坊主」名義で投稿するインスタグラム等のSNSで、お寺と私を知ってくださった方も多いことでしょう。
巡り巡って、こうしてご縁を結べましたことを、とても嬉しく、また光栄に思います。
◆孤独を愛する生きもの
仏門に生きる私のような僧侶にとって、ネコさんは特別な存在です。
かつて唐(とう)などと呼ばれた中国からありがたい仏教の経典が船で運ばれる際、ネズミから護(まも)ったのがネコさんだったとか。ネコさんがいなければ、日本に仏教は根付かなかったかもしれへんのに、当のネコさんは 偉大な功績などどこ吹く風。誰にも媚びず、へつらわず、ひょうひょうと日々を生き抜き、命をつないできました。
いつしか「孤独を愛する生き物」と目されるようになった、ネコさん。
でも、果たして本当にそうでしょうか?
ネコさんは、ほんまに孤独を愛してるんでしょうか?
我が家の弥太郎(やたろう)は、10年前、保護ネコの里親サイトから迎えた子です。
できるだけ緊急性の高いネコさんを引き取りたいと、パソコン画面に目を凝らしていた時、突然、直感が降りてきたんです。「この子や!!」って。
まんまる目にまんまる顔の茶トラ男子は、まだ10ヶ月。あまりにも可愛くていっぺんに気に入った私は、翌日、すぐに飼い主さん一家に会いに行きました。
ご夫婦とお子さんふたりのご家族で、残念ながら、上の子にネコアレルギーが出てしまったとのこと。
トントン拍子(びょうし)で引き取りが決まり、最後は一家で記念写真を撮って、わりとアッサリ別れを告げておられました。「バイバーイ」って。
アッサリいかなかったのは、弥太郎のほうでした。
キャリーバッグに入れられ、住み慣れた家から出る瞬間に発した「ぎゃああああああああああああああ」という悲痛な鳴き声は、今でも忘れられません。
つらかったんやろなあ、弥太郎。