【ペットと遺品をめぐる死後の手続き】「実家の愛犬を誰が引き取るか」で親戚トラブル、処分に困る大量の古書や嫁入り道具…大切なのは生前の意向の確認

AI要約

身近な人を見送り、死後の手続きに関する落とし穴や問題を抱える人生後半の難題について語られている。

ペットや遺品の処遇に関するトラブルや困難が生じる事例が示されており、事前に対策を講じる必要性が示唆されている。

遺品の処分に関する悩みやストレスを抱えるご遺族に対して、適切な処置方法や供養のあり方についての指針が示されている。

【ペットと遺品をめぐる死後の手続き】「実家の愛犬を誰が引き取るか」で親戚トラブル、処分に困る大量の古書や嫁入り道具…大切なのは生前の意向の確認

 人生後半に待ち受ける最初の難題が、身近な人を見送ることだ。死後の手続きには多くの落とし穴が待ち受ける。たとえば、故人の“相棒”の処遇。親の死後、「実家に残されたペットの引き取り」を巡り、トラブルが生まれるケースがあるのだ。今年5月に母が急逝した50代男性G氏の話。

「母は私が社会人になって独立した直後から室内でチワワを飼うようになりました。いま実家にいる犬は3代目になりますが、その処遇を巡り親戚を巻き込んだ問題に発展していまして……」

 一番のネックはG氏の妻が犬アレルギーを持つことだった。

「うちで引き取れないので、いまのところ近所に住む私の従姉妹が預かり面倒を見ていますが、旦那が転勤族のため、転居先の住宅事情次第では『手放さざるを得ない』とのこと。母が元気なうちから万一の事態を考え、信頼できる引き取り先を探しておくべきでした」

 実家の片づけ、遺品の整理中にも想定外の事態に直面することがある。60代男性のH氏が言う。

「昨年、一昨年と父母が相次いで亡くなり、空き家となった実家を処分するため、妹とともに本腰を入れて片付けをすることになりました。そこで困り果てたのが、処分に困る遺品が出てきたこと。とりわけ扱いに悩むのが、父が長年かけて収集した大量の古書、母が子供のころから大切にしていたひな人形、嫁入り道具だった三面鏡です。はたして処分してよいものなのか。せめて、両親が存命中に意向を確認しておけば……」

 引き取って自宅で保管したいのは山々だったというH氏だが断念した。

「私も妹の家もスペースに余裕がない。よほどの高値が付けば売却も選択肢のひとつですが、ネットで調べても二束三文。さすがにゴミとして処分するのは忍びないので、当面はレンタル倉庫での保管を考えています」

 遺品整理を行なう都内の専門業者が語る。

「近年こうした相談が増えていますが、ご遺族がストレスや負担を感じながら形見を持ち続けても、故人は喜ばないのではないか。遺品の“処分”という言葉に抵抗があるのなら、神社やお寺に“お焚き上げ供養”をお願いする方法も。人形に限らず、材質や大きさに問題がなければ受け入れてくださることもあります」

 親が愛したペットを守り、想いが詰まった遺品を整理することもまた、子の大切な役目なのだ。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号