【もう君はいない】「いつも一緒だった妻が先に逝ってしまった…」3年経った今でも、現実が受け入れられない夫の哀しみ~その2~

AI要約

博史さんが妻の死について語る。妻の最期、終活の準備、3年間の過ごし方などが描かれる。

妻の死後、博史さんは妻の遺品を整理し、新たな趣味や仕事を見つける。息子のサポートも受けながら3年が過ぎる。

博史さんは人生を新たなパスに進んでいく姿が描かれる。

【もう君はいない】「いつも一緒だった妻が先に逝ってしまった…」3年経った今でも、現実が受け入れられない夫の哀しみ~その2~

取材・文/沢木文

結婚25年の銀婚式を迎えるころに、夫にとって妻は“自分の分身”になっている。本連載では、『不倫女子のリアル』(小学館新書)などの著書がある沢木文が、妻の秘密を知り、“それまでの”妻との別れを経験した男性にインタビューし、彼らの悲しみの本質をひも解いていく。

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今回、お話を伺った、博史さん(仮名・73歳)。彼の同じ年の妻は、3年前にガンで亡くなった。結婚45年、2人の息子を育て、いつも一緒にいてくれた妻がいなくなって3年目に起こった変化とは……

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妻が死んだことは受け入れていない。

「毎日、容体が悪くなり、緩和ケア病棟に入った時に覚悟をした。死ぬまでの1週間はほぼ一緒にいた。昼間は息子夫婦も孫も来てくれて、妻もしゃんとしているんだけれど、夜になると苦しがった。足がつった時はさすって、肩こりや腰の痛みをほぐすために揉んだ。50kgあった体重が、32㎏になってしまって、それでも生きてほしかった。妻の胸や尻は小さくなってしまって、童女のようだった。最後にファストフードのポテトフライが食べたいといって、慌てて買いに行って、なんとか3本食べてくれた」

妻は「おいしい」と微笑み、「あなた、ホントに大好きよ。ありがとう。キスして」と言った。

「あれは日曜日だったのに、息子も孫も来ていなかった。キスしてっていうから、そうしたら、容体が急変して亡くなった。僕も横になって、ずっと抱きしめていた。あれは緩和ケア病棟のいいところだよね。“あ、妻の魂があの世に行った”ってわかるんだよね。軽くなるっていうか……あ、逝っちゃったんだ……って」

妻は死期を察して、終活は完璧にしていた。

「息子の嫁たちに、僕が自活できるまでのサポートを3か月間続けてくれと言い。それぞれの嫁たちに50万円ずつ渡していたんだよ。ホントに立派でさ。息子の嫁がかわるがわる2日おきに来てくれて、あっという間に3年経った」

この3年間、妻の遺品をネットで販売したり、妻が財テクをしてくれていたモノの処分をしたりして忙しかった。

「妻の厳命で、僕は市役所のシルバー人材に登録して、公園や公民館の清掃の仕事が週に1回ある。あっという間に3年が経ったある日、息子がスマホをプレゼントしてくれた。スマホって面白いね。落語も映画も観られる。あっという間に1日が経ってしまう」