偏差値採用では集まる社員は「1×8掛け8掛け8掛け8掛け…」と永遠に劣化…礼儀正しいやんちゃ者を発掘せよ

AI要約

専門塾のサマデイグループCEOが非認知スキルについて解説し、大学入試問題における重要性を強調。

非認知スキルを測るための新たな入試システムとAI技術について述べ、小学生の高得点事例も紹介。

偏差値にとらわれず、日本の教育や企業システムに新たな風を吹かせる必要性を説く。

非認知スキルを重視する動きが広がり、人物本位の採用へのシフトが進む中、次世代を担う人材の育成が重要視される。

将来の職業に関する問題や想定外の課題に取り組ませることで、個々の特性や才能を引き出す学習システムの開発が進む。

日本の教育や企業文化における偏差値重視の問題点から、非認知スキルの重要性が浮き彫りになる中、個々の才能やエネルギーを活かす風土づくりが求められる。

 (前編より続く)

■非認知スキルを測る大学入試問題

 こうした質問を提示すると、「具体的にどのような解答をする人がダメな人なんですか」と聞かれます。模範解答例、ダメな解答例を教えてほしいと言われるのですが、我々はそれをしません。模範解答を示せば、結局は暗記式の試験と変わらなくなるからです。

 言い換えれば非認知スキルを読み解くには、面接官の側にも分析力が求められるのです。面接官の能力が試されていると言っても過言ではありません。

 現在、我々は非認知スキルを反映させることができる大学のオンライン出願システムを作っています。現時点で、世界196カ国、約175万人のユニークユーザーが使用するTAO(TheAdmissions Office)というアジアの留学生向けオンライン入試プラットフォームがあります。日本国内の大学もこのTAOを活用しています。

 一方で、私たちが開発した進路発見プラットフォームWEBSTARは、我々が特許を取得した3つの生成AI技術を組み込んで開発した学習システムです。このWEBSTARとTAOを連携させることで、大学の求める人財と生徒の志をマッチングする、まったく新しい入試システムを構築しようとしています。

 18歳人口が激減する中、受験生も偏差値やネームブランドで大学を選ぶのではなく、卒業後の、進路発見の視点で大学を選択する考え方にシフトしています。この事実に気づいている多くの大学が学生の非認知スキルを測る総合型選抜に軸足を移しています。

 実際に我々は、多くの大学の要請を受けて非認知スキルを測る問題作成のお手伝いをしています。

 我々が開発したWEBSTARは、受験生の特性、才能、つまりその人物の非認知スキルを炙り出し、そして高めるための学習システムなのです。

■大人よりも小学生が高得点になることも

 サマデイグループは生成AIに、我々が過去40年間蓄積した教育履歴を読み込ませ解析させることで、WEBSTARに非認知スキルをスコアリングする機能を付与しました。「25 Soft Skills」で列挙されている各スキルは5点満点ないし10点満点を、0.1点刻みでスコアリングされます。25のスキルの中でも主要スキル「洞察力」「多角的な視点」「社会的な知」「ユーモア」「判断力」は10点が満点で他のスキルは5点満点、トータルで150点満点ということになります。

 WEBSTARの学習者は想定外で正解のない課題に取り組みます。暗記に頼る偏差値を測るわけではありませんから正解がないのです。例えばこんな問いがあります。

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問い:あなたの将来の職業は? その職業を「道楽化」するための具体的な方法を120字以内で書きなさい(制限時間5分間)。

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 この問いに、ある小学生はこんな解答をしました。

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将来の職業は《宇宙の地図作家》。その職業を「道楽化」するための具体的な方法は、《趣味の天体観測を活かして、宇宙の3Dガイドを制作する。おもしろくて美しい惑星や星雲を3Dの世界に再現して、新しい宇宙旅行の擬似体験サービスを販売する。星座にまつわる伝説を集めてその物語も紹介するなど、大人も子どもも楽しめる旅行プランを提供する》。

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 関西に灘中学校へ多くの生徒を送っている浜学園という塾があるのですが、その塾は我々の開発したWEBSTARを導入しています。この解答はその塾で学んでいる小学5年生のもので、150点満点中、91.6ポイントと非常に高得点です。普通はだいたい60ポイントかそれ以下です。最近は、同じ問いを提示したとき、大人より小学生が高得点という結果もよく見受けられます。

 でも、ご心配なく。WEBSTARの問いに答えるとフィードバックのレポートが出されるので、AIと非認知スキル領域の壁打ちをして自己分析も可能です。年齢に関係なく自らの非認知スキルを高めることにも役立つのです。企業研修でも、このWEBSTARをベースにして研修プログラムを作ってほしいということで、現在、制度設計している最中です。つまり、非認知スキルの領域に関しては、学生と社会人の間に垣根はないのです。

■8掛け8掛け8掛けの人間しか集まらない

 私は偏差値が日本をダメにしたと思っています。これまで日本にはGAFAのようなプラットフォーム企業は生まれませんでした。海外で偏差値(Deviation score)なんて言葉を口にしたら、笑われます。「あなた統計学者ですか」ってね。

 現在、多くの大学が総合型選抜に軸足を移しているだけでなく、至る所で、偏差値ではなく人物本位の採用へのシフトが起きています。偏差値偏重の企業というのは、これから先はどんどん危なくなっていくと思います。ある種の異端児を受け入れ、報酬のシステムもガラッと変えて、自社内で起業させるような風土を醸成できる企業が、この先、台頭してくると思います。

 企業の面接官が扱いやすそうな応募者ばかり採用していたのでは、上司の8掛けの人間しか集まりません。8掛け8掛け8掛けの連続では、その企業は必ず衰退します。

 米国クレアモント大学院大学「ドラッカースクール」の元学長・山脇秀樹さんは、「礼儀正しいやんちゃ者を採りなさい」と言っています。世に出る人には何かしらのエネルギーがあって、それがやんちゃ者に映ることもあるのです。その人物の本質を見抜くのは本当に難しいですが、その成長点を見抜けるかが重要です。だからこそ、非認知スキルを測る問題のように正解のない想定外の問いが有効なのです。虚(きょ)をつかれたときにこそ、その人の本質が見えるからです。

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相川 秀希(あいかわ・ひでき)

サマデイグループCEO、日本アクティブラーニング協会理事長

1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業。現役合格の専門塾「早稲田塾」創業者。文科省「トビタテ!留学JAPAN」公式ポートフォリオ「Feelnote」開発者。

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