東京に若者を一番送り出している道府県はどこか…故郷の年老いた親を呼び寄せている実態

AI要約

若者の東京一極集中の実態や高齢化が進む地域への移動が明らかになる。

若者が東京圏に集まり、女性の転入が多い傾向が見られる。

地方からの若者の移動により、高齢者の東京への転入も増加している。

東京に若者を一番送り出している道府県はどこか…故郷の年老いた親を呼び寄せている実態

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。

100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が「10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。

※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。

東京へ一番若者を送り出している道府県は、大阪府。地方から東京圏に仕事を求めて出てきた女性の増大が、一極集中の流れを押し上げている。

現時点での人々の動きを確認するにあたってまず注目したいのが、東京一極集中だ。政府の歯止め策も空しく、むしろ拡大し続けている。

総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(2018年1月1日現在)」によれば、2017年に日本人住民が増加したのは、7万2137人増となった東京都をはじめ、埼玉県(4247人増)、神奈川県(3240人増)、沖縄県(2914人増)、千葉県(2764人増)、愛知県(1507人増)の6都県のみで、沖縄県と愛知県以外はすべて東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)である。

東京一極集中の実態については、「住民基本台帳人口移動報告(2018年結果)」がさらに詳しくまとめているが、2018年の東京圏は、転入者が転出者を13万9868人上回る転入超過となった(日本人に限れば23年連続)。その数は前年より1万4338人多い。一方で全国の自治体の72.1%は人口流出であり、各地から東京圏へと集まっている状況が浮き彫りとなっている。

これを年代別に分析すると、予想通り若い世代が東京圏に集まっていることが明確になる。日本人に限って調べると、20~24歳が最も多く7万4996人、次いで15~19歳が2万6863人、25~29歳の2万3561人だ。進学や就職を機に東京圏に住み始め、故郷に戻らない若者は多い。

男女別に見てみると、20~24歳は男性3万3481人、女性は4万1515人と女性のほうが上回っている。15~24歳の総数で見ても男性が4万7370人、女性が5万4489人だ。多くの若い女性が「東京」を目指して集まってきている状況を裏付ける。

若い女性たちの意識もさることながら、背景には高速交通網の発達やインターネットなどの通信の普及によって、帰省や家族との連絡が格段に便利になったこともある。親たちにとって、遠く離れた「東京」へと娘を送り出すことについてのハードルが低くなったということだ。

ところで、これまであまり取り上げられることがなかったが、若者の一極集中とともに注目すべき点がある。50代後半から70代前半までは転出超過となっているものの、75歳以降で再び転入超過へと転じているのだ。85~89歳の転入超過は1156人を数える。

地方から移り住んだ若い世代が、故郷の年老いた親を呼び寄せていることをうかがわせる数字と言えよう。今後、東京圏内での高齢化が予想されるが、これに拍車をかける動きだ。