働かないおじさんはピンチ!?進次郎氏の公約“解雇規制緩和”に賛否 60代「アメリカみたいになるから反対」30代「どんどん切ってほしい」

AI要約

小泉進次郎氏の自民党総裁選公約が賛否を呼び、解雇規制の見直しを提案したことについて、労働市場改革の必要性や現行の問題点が議論されている。

解雇規制を緩和することで労働市場を活性化し、生産性を高める一方、現行の労働法の枠組みが時代に即していないことも指摘されている。

プロフェッショナル意識の必要性や国際競争力の観点から賛否両論が存在し、過去の政策の影響や今後の展望に注目が集まっている。

働かないおじさんはピンチ!?進次郎氏の公約“解雇規制緩和”に賛否 60代「アメリカみたいになるから反対」30代「どんどん切ってほしい」

 自民党総裁選で小泉進次郎氏が出した公約が賛否を呼んでいる。進次郎氏は「労働市場改革の本丸」として、解雇規制の見直しを掲げたが、これは極端に言えば、「働かないおじさんをどうするか問題」になる。

 大手企業などの社員は、法律で守られていて、そう簡単に解雇できないのが現状だ。これを会社が社員をリストラしやすくする法律に変え、生産性を高めることで、労働市場を流動的にするのが、解雇規制の緩和策だ。

 経済ジャーナリストの内田裕子氏は、企業側の本音として「解雇できないことで、重しになってきたのは今に始まったことではない」としつつ、辞めてもらうために退職金を割増するなど早期退職制度を取り入れてきたが「フタを開けてみると、辞めて欲しくない人が辞めて、辞めて欲しい“働かないおじさん”が居座る。そこを解雇する手段がなかった」と分析する。

 労働法に詳しい倉重公太朗弁護士は、「労働契約法16条の規定を守ろうとすると大変だ」と説明する。「問題行動を把握し、書面で注意し、場合によって懲戒処分して、さらに反省がなければ、指導して懲戒して……と何回か繰り返し、ようやく解雇に踏み切れる。半年から数年かかる場合もあり、その間ずっと人員が割かれる」。

 さらに、解雇規制を定める法律自体が、高度成長期をベースにしており、今の時代には合っていないのではと指摘。「令和の今に妥当するのかが、本質的な論点だ。新しいことを学ばなくても、ある程度給料は上がり、解雇もされない。そうすると、新しいものに取り組む意欲は生まれない」と語った。

 内田氏は、「『団塊の世代が許さない』と諦めに近いものがあったが、ようやく大きな声で言えるようになった。それでも大衆受けはしない。誤解を生じる危険性があるなかで、進次郎氏の公約は、勇気がある発言だ」と理解を示す。

 標的となったベテランサラリーマンの反応はどうか。60代は「アメリカみたいになるから反対」、50代は「冷徹にやるなら、そんな人に本当について行くか」、別の60代は「日本を支えるのは我々50、60代。若者が減るのに、クビを切るのはおかしい」と語る。

 一方で、外資系企業に勤める40代からは「実力主義。お金以上のパフォーマンスを出すのが、グローバルスタンダードだからやるべきだ」との声が出た。30代からも、自分たちが最前線で働いているのに、働かないおじさんが収入を得ているとして、「納得いかない。どんどん切ってほしい」との反応がある。

 アメリカ駐在歴の長い、テレビ朝日外報部の中丸徹デスクは、「アメリカでの解雇は、日本より非常に簡単だ。2週間前に通知すれば、いつでも雇用主は従業員のクビを切れる」と説明する。

 倉重氏は「50代だって70歳まで働くのが普通。その20年をだらだら過ごすか、モチベーション高く過ごすかで、国力の差が出てくる」としながら、「(今まで)感情的な反対意見が強すぎて、地に足の付いた議論ができなかった」と語る。内田氏も「経済界としては早い方がありがたい。(進次郎氏の父である小泉純一郎政権時の)20年前にやれていたら、もっとよかった。それから経済が世界的競争力をなくした」と説明する。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏は「これまで歴代自民党政権がやろうとして、できなかった難しいテーマ。進次郎氏が『1年以内にやる』と言ったのは、かなり高いハードルと言わざるを得ない」と話す。