為替介入は国を守る戦い「必要があれば制限なくやる」 通貨政策を指揮する神田財務官にインタビュー

AI要約

円相場が急激な円安ドル高水準となり、政府・日銀が為替介入に踏み切るも、投機が主な要因であると指摘。

急激な円安は輸入品の価格上昇や国民生活への負担増をもたらすため、適切な対応が必要と述べる。

過去に実施された為替介入により一時的な効果があったものの、市場の投機的な動きが影響力を持っていることを示唆。

為替介入は国を守る戦い「必要があれば制限なくやる」 通貨政策を指揮する神田財務官にインタビュー

 円相場は4月、一時1ドル=160円台を付け34年ぶりの円安水準となった。政府・日銀は過度な円安ドル高を食い止めるため、為替介入に踏み切った。一方、介入の効果は一時的で限界もあるとの見方は根強い。

 為替介入を指揮するキーパーソンが財務省の財務官だ。7月末で退任した神田真人財務官が在任中に共同通信のインタビューに応じ、介入の考え方や、財務官として関わってきた国際会議の舞台裏を明かした。(共同通信=野沢拓矢、飯田裕太)

 ―歴史的な円安ドル高水準となっています。背景をどう考えますか。

 「為替の背景は森羅万象で、これで決まるというのはありません。今のマーケットでは日米の金利差とか金融政策の動向とよく言われています。投資家のリスク許容度も重要ですし、統計で言えば、金融政策の考慮要因にもなる物価動向や雇用環境もあるし、国際収支なども関係あるでしょう。ただ今の相場はこういった要素で説明できず、一番大きな要因というのは、やはり僕は投機だと思っています」

 ―国民生活にどんな影響がありますか。

 「一般論として、円安だったら輸出や海外展開企業の収益がよくなりますね。ただ他方で輸入価格が上昇すると企業や消費者には負担になります。今は、やはり急激な円安が輸入価格の上昇を通じて、国民生活あるいは事業活動の負担増になるというマイナス面の影響がずっと大きく、懸念を持っています。ゆっくりであれば適応していけるけども、急に変わると家計や企業は対応できません。ですから投機による過度な変動があれば、私としては適切に対応していくしかないのです」

 ―今年4月から5月には計9兆円を超える規模の為替介入を実施しました。

 「変動相場制なので為替レートは市場で決定されるのは大原則です。ただこの期間はまさに投機的な動きを背景として、過度な変動が見られました。従って為替介入に踏み切りました。その行動によって過度の変動をかなり抑制することができました。有効であったと考えています」

 ―その後2カ月ほどで円相場は介入前の水準に戻りました。一時的な効果しかないのではないですか。