Microsoft、6Q連続の増収増益もAzure鈍化で株価下落

AI要約

米マイクロソフトが2024年7月30日に発表した2024会計年度第4四半期(24年4~6月期)決算は、売上高が前年同期比15%増の647億2700万ドル(約9兆8800億円)、純利益が10%増の220億3600万ドル(約3兆3600億円)だった。

生成AIの導入で相乗効果を狙うクラウドコンピューティング事業の伸びが予想に届かず、株価が下落した。

AI関連の投資によりマイクロソフトは成長を続けつつも、投資家の中には過大評価の懸念が広がっている。

 米マイクロソフトが2024年7月30日に発表した2024会計年度第4四半期(24年4~6月期)決算は、売上高が前年同期比15%増の647億2700万ドル(約9兆8800億円)、純利益が10%増の220億3600万ドル(約3兆3600億円)だった。

 6四半期連続の増収増益で、4四半期連続の2桁増収、5四半期連続の2桁増益を確保した。だが、生成AI(人工知能)の導入で相乗効果を狙うクラウドコンピューティング事業の伸びが予想に届かず、株価が下落した。

■ クラウド基盤の増収率、予想に届かず

 マイクロソフトの売上高を事業部門別に見ると、全体の4割強を占める主力「インテリジェント・クラウド」部門は前年同期比19%増の285億1500万ドル(約4兆3500億円)。AI事業の中核を担うクラウド基盤「Azure(アジュール)」などの売上高は29%の増加にとどまった。この伸び率は前の四半期の31%を下回り、アナリスト予想の30%にも届かなかった。

 マイクロソフトの1株利益は2.95ドル(前年同期は2.69ドル)と市場予想を上回った、だが、AIブームの見通しに対する投資家の不安感が広がり、同日の米株式市場の時間外取引で同社株は一時7%下落した。

 これは、サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)のAI戦略の中心であるクラウド事業において、わずかな弱さの兆候にも敏感に反応するトレーダーの様子を示していると米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報じている。「投資家の中には、Azure事業のわずかな変化にも敏感に反応する層が存在する」とアナリストは話している。

■ 生成AIへの期待と懸念

 WSJによると、コンピューターコードを作成したり、複雑な情報を要約したりできる生成AIの可能性に対する期待の高まりが、マイクロソフトをはじめとするテクノロジー企業の株価の大幅な上昇を後押ししてきた。しかし、最近になって投資家らは、これら企業の株価が過大評価されていると懸念し始め、テクノロジー株の反落を引き起こす一因となっている。

 米グーグルの持ち株会社、米アルファベットの株価は、先ごろの決算発表の翌日に5%下落した。広告売上高の伸びが鈍化した一方で、設備投資額がほぼ倍増したことが要因とみられる。

 マイクロソフトの設備投資額も増大している。24年4~6月期は139億ドル(約2兆1200億円)となり、その大部分がAI関連の投資だった。リース資産を含めると総額は190億ドル(約2兆9000億円)。前年の107億ドルから約8割増加した。

 マイクロソフトによると、Azureの増収率の8ポイント分はAI需要によるものだった。この貢献度は前四半期の7ポイント、23年10~12月期の6ポイントから拡大している。

■ コンピューティング14%増、ビデオゲーム61%増

 「Office」や「Dynamics」など、売上高全体の3割強を占める「プロダクティビティー&ビジネスプロセス」部門の売上高は、前年同期比11%増の203億1700万ドル(約3兆1000億円)だった。企業向けの業務ソフトをまとめた「Office 365 Commercial」は13%の増収だった。マイクロソフトは業務ソフト群などで利用可能なAI支援機能「Copilot(コパイロット)」を提供し、収益化につなげる戦略を打ち出している。

 パソコン基本ソフト(OS)の「Windows」などを含む「モア・パーソナル・コンピューティング」部門の売上高は、14%増の158億9500万ドル(約2兆4300億円)。パソコンメーカー向けWindowsの売上高は4%増だった。一方、タブレット端末「Surface(サーフェス)」などのデバイス事業の売上高は11%減少した。検索およびニュース広告は19%増加した。

 ビデオゲーム事業(コンテンツとサービス)の売上高は61%増加した。23年10月に買収した米ゲーム大手アクティビジョン・ブリザードが増収に大きく寄与した。アクティビジョン事業はビデオゲーム事業の増収率を58ポイント押し上げた。