「経済・物価の見通し実現すれば、引き続き金利上げる」植田総裁会見

AI要約

日本銀行が政策金利を0.25%程度まで引き上げることを決定。経済・物価が順調に推移しており、引き続き利上げする意向。追加利上げが経済に与える影響は限定的であると述べた。

春闘の影響や消費の動向を踏まえ、利上げを決定した背景説明。個人消費の不透明さや賃金の現状にも触れつつ、今後の経済見通しを考慮している。

短期金利上昇に伴い、住宅ローンや企業向け融資金利の上昇が予想されるも、賃金の伸びや消費の堅調さに期待。利上げは賃上げの進展を見越して判断された。

「経済・物価の見通し実現すれば、引き続き金利上げる」植田総裁会見

 日本銀行が政策金利を0.25%程度まで引き上げることを決めたことについて、植田和男総裁は31日の記者会見で「経済・物価が見通し通りに推移している。今後も見通しが実現していけば、引き続き金利を引き上げる」と話した。追加利上げによる経済への影響については、「非常に低い水準。景気に大きなマイナスを与えることはないと思う」との認識を示した。

 大規模な金融緩和策を転換した3月に続いて利上げに踏み切った理由を植田氏は、「春闘の(賃上げ)結果が着実に反映されつつあり、今後数カ月も続いていくだろうとの予測が持てた」と説明した。ただ、物価の影響を差し引いた働き手1人あたりの「実質賃金」は5月まで過去最長の26カ月連続でマイナスとなり、個人消費も力強さを欠く。市場では消費の弱さから、日銀が利上げを見送るとの観測もあったが、「消費は底堅く推移している。賃上げの動きが一段と進むことが見込まれ、個人消費を支えていくと判断している」と述べた。

 短期金利の上昇によって、住宅ローン金利や企業への貸出金利の引き上げなどが見込まれ、経済に一定の影響を与えそうだ。植田氏は住宅ローンの変動型金利が上昇する可能性を指摘しつつ、「賃金上昇の見通しが続くなかで利上げの判断をした」と理解を求めた。