三村新財務官、円安「デメリット目立つ」-為替介入の判断は総合的に

AI要約

三村淳財務官は円安のデメリットについて言及し、為替介入の判断について慎重な姿勢を示す

市場との対話において疑心暗鬼を生む戦略も時には有効と語る

日本の為替介入の透明性を強調しつつ、市場との対話を臨機応変に行う姿勢を示す

三村新財務官、円安「デメリット目立つ」-為替介入の判断は総合的に

(ブルームバーグ): 財務省の国際部門トップに31日就任する三村淳財務官は、足元の円安について、輸入物価を押し上げて国民生活に影響を与えるなどデメリットの方が大きいとの認識を示した。ブルームバーグの単独インタビューに29日応じた。

三村財務官は、為替相場は「円高だろうが円安だろうが、メリットもデメリットもある」とする一方、最近の円安はエネルギーや食品価格の上昇を招いており「デメリットが少し目立つ」と指摘。円安のデメリットを感じている向きが多いからこそ「為替の問題が国民の多くの方の関心事項になっている」とし、財務官として今の状況を念頭に置きながら対応すると話した。

為替介入に関しては、日本経済に悪影響を与え得る投機的な動きを含め、相場がファンダメンタルズから大きく乖離(かいり)している時に必要な手段とする一方、実施の判断は「複眼的、総合的に考える」と述べるにとどめた。為替の水準や今後の見通しについてはコメントを控えた。

事務次官級ポストの財務官は、財務相や日本銀行総裁と共に主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)など国際会議に出席する主要メンバーだ。各国と高度な機密情報をやり取りすることから「通貨マフィア」とも呼ばれ、特に相場が大きく動いた時はその発言が注目される。前任の神田真人氏は歴史的な円安局面でたびたびメディアを通じて市場をけん制した。三村氏の情報発信のスタイルを市場は注視している。

為替介入を巡る市場との対話について、三村財務官は「ありのままに言うだけがコミュニケーションではない」と話す。実施の有無を明らかにせず、あえて市場の疑心暗鬼を生む戦略も時には有効との見方だ。実際、2022年9月に24年ぶりの円買い介入が行われた際、神田氏ら通貨当局は直後に介入実施を明らかにしたが、その後の介入については有無を含めて「ノーコメント」のスタンスを貫いた。

三村財務官は、日本の為替介入の実績が月次や日次ベースで定期的に公表されていることから「世界的に見ても他の当局に比べて勝るとも劣らない最終的な透明性は持っている」と強調。その上で、市場との対話は臨機応変に臨む考えを示した。