「入社祝い金最大200万円」 IT企業、異例の採用活動の背景は?

AI要約

東京都のIT企業が最大200万円の入社祝い金を支給して新卒・中途採用を強化

祝い金支給の背景や狙い、人材獲得競争の激化と採用コスト増加の問題

国の試算によると、35年にIT人材が不足する可能性がある

「入社祝い金最大200万円」 IT企業、異例の採用活動の背景は?

 新卒・中途採用の入社祝い金として最大200万円を支払います――。東京都のIT系企業がこんなうたい文句で採用活動を強化している。新卒売り手市場の継続や人材獲得競争の激化を背景に、「入社祝い金」や「転職祝い金」として企業が数万円~数十万円を支給するケースはあるが、200万円は異例だ。

 祝い金を支給するのは、東京都のIT系企業「オプティム」。ITエンジニアだけでなく経理や営業企画など幅広く募集している。祝い金の支払い対象は、2024年末までに同社の採用サイトに直接応募して正社員として入社した人。新卒は最大50万円、想定年収800万円以上の人材は最大200万円を分割で支給する。採用から各支給月までの出勤率80%以上などが条件だ。

 祝い金の金額設定の背景について同社の人事担当者に尋ねると「採用活動のコスト増加を考えれば高いとは言いがたい」との返事が返ってきた。

 人材紹介会社を経由した場合には、紹介料として年収の数十%を支払うケースがある。一方で、支払う紹介料が低ければ他の企業に人材が流れてしまうこともあり、採用コスト増加の一因になっている。このため、IT業界では100万円以上の祝い金を自社で支払って直接採用を行う企業もある。

 オプティムの担当者は「人材獲得競争の激化で、高度な人材ほど採用活動の難易度は高い上、人材紹介会社や広告媒体を利用した採用コストは年々増加している」と話す。「他社の水準も考慮しながら年収に応じた魅力的な金額を設定する必要があった。この活動で1人でも2人でも興味を持ってもらいたい」と説明する。

 国は、IT人材の需要増加や人口減少などで、35年にIT人材36万人が不足する可能性があると試算している。【秋丸生帆】