年収1000万円以上になると”損”をする!? 受けられなくなる「控除」や増える「保険料」を解説

AI要約

年収1000万円以上の世帯の割合は全体の5.4%であり、手取り額は年収の7~8割前後と言われている。

高収入世帯は一部の控除の対象外となるため、収入が増えると受けられなくなる控除がある。また、所得が増えることで保険料などの負担も増える可能性がある。

高収入世帯が損する理由として、年収1000万円以上だと受けられなくなる控除や支出増加の可能性が挙げられる。

年収1000万円以上になると”損”をする!? 受けられなくなる「控除」や増える「保険料」を解説

「年収1000万円」と聞くと、高収入世帯というイメージがあるかもしれません。「1000万円以上あれば生活にゆとりができ、貯蓄も十分できる」と考える人もいるでしょう。

しかし、年収1000万円以上になると、「損することがある」という声もあるようです。その理由として、高収入だと受けられない控除があったり、支出が増えたりするなどの点が挙げられます。

本記事では、年収1000万円以上の世帯の割合や「損する」といわれる理由を詳しく解説します。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円超の人の割合は表1の通りです。

表1

※国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」を基に筆者作成

1000万円超の年収を受けている人は、合計で全体の5.4%しかいませんでした。給与所得者のなかでも、1000万円超の収入を得ている人はごく少数であることが分かります。

また、収入に対する「手取り額」は個々の状況により異なりますが、おおよそ年収の7~8割前後といわれています。例として年収1000万円を得ている人の手取り額は、おおよそ700~800万円前後です。

一般的に高収入といわれる世帯でも、家計が楽ではない理由はさまざまです。要因として考えられる点は、所得が増えると受けられなくなる控除があること、また所得増に伴って支出も増えやすいことなどが挙げられます。

具体的な例を見てみましょう。

■年収1000万円以上だと受けられなくなる控除があるため

「高収入世帯」だと、一部の控除制度の対象外となる可能性があります。例えば国税庁によると、「配偶者控除」は納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合には受けられません。

また、給与などの収入から差し引ける「給与所得控除額」は、収入が850万円を超えると、一律で195万円に制限されます。収入額が増えても控除額が増えていかなければ、相対的に課税対象額が割り増しになってしまうでしょう。

さらに、総所得金額などから差し引きできる「基礎控除」は、2400万円以下までは一律48万円ですが、2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円、2500万円超では0円になります。

■所得が増えることで保険料などの負担が増える可能性があるため

所得が増えることで、出費も増える可能性があります。例えば、厚生年金の毎月の保険料額は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されますが、所得が多いと負担額が大きくなります。

また、「高額療養費制度」については、被保険者の年齢や所得で自己負担限度額が変わります。通常、所得が多いと自己負担上限額が高くなります。

さらに、所得税も、所得が増えるほど税率が上がるため、1000万円以上の収入がある世帯は、納める税額も多くなるでしょう。