「N-BOX」新型登場でも前年同期比10.3%マイナスとなった理由とは?「スペーシア」と異なる商品力の改め方

AI要約

ホンダ「N-BOX」の売れ行きが低迷しており、2024年上半期は対前年比で10.3%のマイナスとなった。

新型車のフルモデルチェンジ直後に売れ行きが低迷するのは異例であり、今後の売り上げが心配される。

N-BOXの売り上げ不振の原因は、外観の変更による消費者の評判の低下やカスタムユーザーへのニーズ不足が挙げられる。

「N-BOX」新型登場でも前年同期比10.3%マイナスとなった理由とは?「スペーシア」と異なる商品力の改め方

 ホンダ「N-BOX」の売れ行きが低迷している。2024年上半期(1~6月)の届け出台数は、月平均1万6780台でランキングとしては1位であったが、対前年比は10.3%のマイナスだった。

 現行(3代目)N-BOXは、2023年10月にフルモデルチェンジした新型車だから、本来なら2024年上半期は前年同期より大幅に増えるはずだ。新型になって売れ行きを落とすのは、異例だといえる。

 クルマの一般的な販売推移を見ると、フルモデルチェンジを実施した直後がもっとも多く、時間の経過にともなって減っていく。フルモデルチェンジ直後に低迷すれば、今後はさらに落ち込むだろう。

 以前は半導体の供給不足などにより、フルモデルチェンジ直後でも十分に生産できず、納期が遅延して納車できない状況があった。しかし、今はほぼ回復したから、販売不振の原因は商品力だと考えられる。

■「物足りない」というユーザーの声

 そこで、N-BOXの売れ行きを販売店に尋ねると、以下のように返答された。

 「N-BOXの生産は、(2024年)1月に発生した能登半島地震の影響で、短期間ではあるが遅延した。その結果、販売台数が減った事情もあるが、売れ行きには外観の変更も影響している。新型は、先代と比べてフロントマスクなどがシンプルだ。標準ボディはお客様の評判も良いが、カスタムについては『物足りない』『先代のほうが好み』という声も聞かれる」

 販売店が指摘する通り、新しいN-BOXは、フロントマスクのデザインが先代型よりもシンプルになった。

 標準ボディのユーザーは、シンプルな外観を好むからニーズに合うが、カスタムを求める層は違う。カスタムの魅力はアクの強い存在感だから、これをシンプルにデザインすると、ユーザーのニーズから離れてしまう。

【写真】先代&現行「N-BOX」を詳しく見る(30枚以上)

 文字通り“クルマの顔”であるフロントマスクの形状は、クルマの売れ行きに大きな影響を与えるため、その評判が下がると販売不振の原因になる。