【誤解その1】「自社都合中心主義」を改め「顧客中心主義」になろう!~「お客様は神様です」の呪い

AI要約

Amazonは「顧客中心主義」を貫き、顧客のニーズを深く理解することで成功を収めている。

日本では「お客さま第一主義」が一般的だが、多くの企業は実際には製品中心主義や自社都合中心主義を展開している。

これらの企業は顧客データの理解不足や収益管理における視点不足などの特徴を持つ。

【誤解その1】「自社都合中心主義」を改め「顧客中心主義」になろう!~「お客様は神様です」の呪い

「顧客中心主義」を創業当時から貫くことで大きな発展を遂げたAmazon。「AWS」のサイトでは「お客さまをあらゆる仕事の中心に置き、お客さまが何を望んでいるのかを単に知るだけでなく、お客さまとそのニーズの背景を深く理解することにで、多くの利点がもたらされる」と説明しています。Amazonのように「顧客中心主義」のビジネスを展開するにはどうすればいいのか? まずは、「顧客中心主義」を掘り下げてみていきましょう。

 

日本においては、「顧客中心主義」はその対義語である「製品中心主義」よりも「自社都合(あるいは自社利益)中心主義」との比較で語られることが少なくありません。それは伝統的な「お客さま第一主義」、もっと砕けた言い方では「お客様は神様です」という言葉が大きな影響を与えていると言ってもよいでしょう。

ちなみに、この「お客様は神様です」という言葉について、その生みの親といえる三波春夫氏のオフィシャルサイトで、このフレーズに込めた本意を説明するページが掲載されています。

そこでは、「自身の芸(歌)を神前に捧げるがごとく、聴衆(お客さま)を神さまに見立てて真剣に披露する」という趣旨でインタビューにて発した言葉が、当時のお笑い芸人の表現によって、本人の意とは異なる意味で広まった経緯が丁寧に説明されています。

要約すると、三波さんにとって「お客さま」とは観衆・オーディエンスであり、お客さまは神なので「徹底的に大事にしてこびなさい」「我慢して尽くしなさい」といった意味を否定しています。非常に興味深いのでぜひご一読下さい。

さて、こうしたことから、日本では「お客さま第一主義」や「顧客起点」を掲げながら、「製品中心主義」な企業が多く存在します。これらの企業の特徴は、

・自社の顧客データではなく市場データばかり集める……自社顧客の特性への理解不足

・自社顧客層(像)の固定的理解……顧客の多様性や変化に対する感度不足

・顧客管理における財務会計的視点の不足……製品の収益管理のみで顧客の収益管理はしていない

などの点があげられます。これらの特徴はいわゆる「LTV経営」とは真逆であることがわかります。つまり、日本では「顧客中心主義」は企業の具体的な成長戦略ではなく、理念やモットーとしての位置付けになってしまっているのです。