最高評価額470億円から破産したWeWork、次に危ない企業はどこ?

AI要約

2018年頃のシェアオフィスブームから、WeWorkの経営破綻に至る背景や問題点を解説。

働き方の価値観が変化し、シェアオフィスやインフルエンサーマーケティングなどのニーズにも変化が見られる。

アメリカで今後同じような運命を辿りそうな業界や企業について、品質や規模の問題が注目されている。

最高評価額470億円から破産したWeWork、次に危ない企業はどこ?

ルニア州在住でDIMEでも連載を持つ竹田ダニエルさんに、アメリカで陰りが見え始めている業界・企業についての最新トレンドを聞いた。

■話を聞きました!

ライター・音楽ディレクター

竹田ダニエルさん

アメリカ合衆国カリフォルニア州出身、在住のライター・音楽ディレクター。著書に『世界と私のA to Z』『#Z世代的価値観』がある。

──2023年11月、急成長していたシェアオフィス大手、WeWorkが経営破綻に至りました。アメリカにいるダニエルさんから見て、その背景に何があったと考えられますか?

ダニエル 2018年頃、アメリカはシリコンバレーを中心にスタートアップブームでした。当時は「1社でも成功すれば良い」と、投資家は「Next Big Thing」を求めて様々なスタートアップに投資をしました。

そのような背景から、個人で起業する人が増え、WeWorkでオフィスを借り同じようなマインドの人、クリエイティブな人たちと交流したいというニーズがありました。

ところがWeWorkは「未来を創造する」と謳っていたものの、現実は「ただのシェアオフィス」。そして、コロナ禍でシェアオフィスが使えなくなったこと、大都市を中心に規模を拡大したことによる家賃高騰の負担が経営に響いたんだと思います。

経営陣が投資家に頼りすぎていたり、社内での豪勢なお金の使い方が無責任だった部分もあるでしょう。多くの人が在宅勤務に慣れてきたことも加わり、シェアオフィス自体のニーズも低下しているように感じます。

──コンセプトと実態に乖離があったんですね。ユーザーのマインドや価値観などの変化もありましたか?

ダニエル ミレニアル世代以降の働き方の価値観は変わりつつあると思います。一時期は「会社のミッションを共有したい」「インスピレーションを持った人たちと空間を共有したい」というブームがありました。

ピークは2019年頃でしたが、2020年頃からはそうした考え方が「ちょっとイタいよね」と変化したように感じます。それよりも雇用の安定や、ワークライフバランスのほうが大事という人も増えているし、働き方のトレンドも変わりつつあると思いますね。

──今、アメリカでWeWorkと同じような道をたどりそうな分野・業界、企業はありますか?

ダニエル 「インフルエンサーマーケティング」の3つが壁にぶつかっている印象があります。

インフルエンサーは飽和状態にあり、同質化が進んでいます。本来、自分が良いと思ったものを紹介していたのに、広告的なものが増え、それに対して嫌悪感を抱く人が出てきました。

コロナ禍でブームになった「アスレジャー」系のブランドも、規模拡大と大量生産による品質低下が問題視されていることに加え、何着も必要なものではないため、需要が続くことが見込めないと思いますね。

オンラインで顧客の信頼を得ている「Hoka」など、好調なブランドもありますが、全体的にこれからの成長が見えづらい印象です。

「テスラ」は、良くも悪くもイーロン・マスクという個人のキャラクターと紐づいたブランドになっていて、彼の言動に左右されている部分があります。

自動運転による事故も起きていますし、クオリティーコントロールの面における不安も払拭できていません。もちろん今すぐに経営破綻するわけではないと思いますが、当初の「すごくカッコいい!」という印象は、かなり下がってきていると思いますね。

──「規模の急拡大」や「品質」がキーワードになりそうですね。

ダニエル アメリカの場合、成長をし続けなければいけないと、すぐに全国展開するケースがあります。ただ、急ピッチで拡大し過ぎて商品の品質が悪くなることがよくある問題。

リアルが求められ、リアルがSNSなどを通じて見えてしまう時代だからこそ、マーケティングでは隠すことができない、クオリティーの低さが露呈してしまうのは致命的ですよね。