「令和のミスター円」の置き土産?連夜の円急伸は為替介入か…為替政策の司令塔の神田財務官は7月末に退任

AI要約

外国為替市場で、円相場が急騰し、政府・日銀が為替介入を行った可能性が高まっている。

急上昇の背景にはアメリカの消費者物価指数が市場予測を下回ったことで、アメリカの利下げ観測が高まったことが影響している。

日銀は介入により当座預金残高が大幅に減少し、また後日も円相場の急騰が続いている。

「令和のミスター円」の置き土産?連夜の円急伸は為替介入か…為替政策の司令塔の神田財務官は7月末に退任

外国為替市場で、連夜、円相場が急伸した。11日夜と12日夜、短時間のうちに対ドルの円相場が急上昇し、政府・日銀が為替介入に踏み切ったとする観測が広がっている。

約40分で4円という急騰を見せたのは、日本時間11日夜のニューヨーク外国為替市場の円相場だ。

午後9時半ごろに、アメリカで6月の消費者物価指数が発表され、伸び率は前年同月比3.0%と、市場予測の3.1%を下回って、インフレの鈍化を示す結果となった。

「FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が早ければ9月にも利下げに踏み切る」との観測が強まり、日米の金利差縮小が意識されるなか、発表前に1ドル=161円台半ばで推移していた円相場は、直後に160円台半ばに急上昇したあと上げ幅を広げ、約40分で4円程度円高が進み、157円台前半の水準まで駆け上がった。市場では、アメリカの消費者物価指数発表後のタイミングで政府・日銀による円買い介入が行われたとの見方が強まった。

財務省の神田財務官は12日朝、記者団に対し、「投機による過度な変動が輸入価格を大きく押し上げて、国民生活に悪影響があれば、由々しいことだ」と強調する一方、「きのうどうしたかについて答えることはしない」と述べた。

こうしたなか、日銀は12日夕、16日の当座預金残高の見通しを公表した。

為替介入は、財務省の指示のもと、日銀が実行する。円買い介入が行われると、民間金融機関が日銀に預ける当座預金から円が吸収され、当座預金が減少する。決済は2営業日後になるため、11日の介入は連休明けの16日の残高に反映される。

16日の見通しでは、為替介入を反映する「財政等要因」により、当座預金残高が3兆1700億円減少する見込みとなった。

銀行間の資金のやりとりを仲介する短資会社が、為替介入がない前提で事前に予想していた数値は、2000億円~4000億円の増加だったため、差額の3兆円程度が、介入による要因だとして、3兆円規模で円買い介入が実施されたとの推測が広がった。

そして、再び円急伸の動きがあったのは、12日夜だ。

日本時間の午後10時過ぎ、それまで1ドル=158円台後半で取引されていた、ニューヨーク外国為替市場の円相場は、約10分間のうちに1円50銭程度円高に振れ、157円台前半の水準をつける場面があり、市場では、11日に続き12日も政府・日銀が為替介入に踏み切ったのではとの見方が出ている。

神田財務官は13日未明、記者団の取材に応じ、「介入したかどうかは申し上げない」と述べる一方で、「一方的で投機的に変動があったことを無視して語れない状況だ」とも話した。