米国債の年初来リターン、数カ月ぶりにプラス圏に

AI要約

米国債のリターン率が数カ月ぶりにプラスに転じた背景や、インフレ鈍化が示されたことによる影響について述べられている。

米国債利回りは依然高水準で推移しており、第1・四半期のインフレ率上昇によって下落したが、最近の経済指標は景気減速を示しており、金融政策の緩和期待も高まっている。

市場では、米国債のプラスリターンが続く可能性がある一方で、来る大統領選に関連する懸念も指摘されている。

米国債の年初来リターン、数カ月ぶりにプラス圏に

[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米国債の年初からのリターン状況を示す指標は、11日に公表された米消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化が示されて国債利回りが急低下したことを受けて、数カ月ぶりにプラス圏に入った。  

ICE BofA米国債指数 によると、債券の価格変動などによる年初来トータルリターンは、11日に0.324%のプラスに転じた。リターンは2月初旬からマイナスが続いていた。  

米国債利回りは依然高水準で推移しており、指標となる米10年債利回り は昨年末の水準を約35ベーシスポイント(bp)上回っている。  

債券価格は、第1・四半期のインフレ率上昇を受けて下落した。連邦準備理事会(FRB)や市場の予想よりも物価上昇圧力が根強いことが懸念された。FRBの政策金利に連動する先物の指標では、2024年の利下げ予想は、年初の約150bpから12日時点で62bpまで引き下げられている。  

ただ、ここ数週間、経済活動の減速を示す経済指標も見られ、FRBがより緩和的な金融政策に転換するとの市場の期待が高まっている。  

6月の米CPIは前月比で約4年ぶりに0.1%下落となり、FRBが9月に利下げを実施するとの観測が高まった。これにより米国債利回りは急低下し、11日の10年債利回りは3月以来の最低となる4.19%で引けた。  

ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネージャー、ジウェイ・レン氏は「短期的には債券はプラスのリターンを得られるだろう。米国債も好調に推移するとみられる」と述べた。ただ、今後は米大統領選を巡る懸念が強まる可能性があるとも指摘した。